ほぼ足りてまだ欲 その先

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インビクタス

 クリント・イーストウッドの最新作を丸の内ピカデリー-1で見る。アバターには切符を買う人たちの列ができていたけれど、こちらはまだガラガラといって良いほどの入り。
 1995年の第3回ラグビー(ユニオン)のワールドカップを舞台にしたネルソン・マンデラ南アフリカの建国エピソード。それにしても良くこのタイミングに大きな舞台がしつらえられていたことのラッキーさがあったものだと思うし、良くもまぁ、このタイミングで南アフリカチームがニュージーランドを相手に決勝で勝ったものだとまるで作られた小説のよう。
 モーガン・フリーマンの英語がマンデラに似るように演技しただけのことがあってうまく演じられているのも微笑ましい。
 それにしてもこの映画、色のコントラストが弱い気がする。日頃テレビのCSIのようなやたらコントラストの強いものを見慣れているせいだろうか。それとも実写との違和感を避けるためにわざとこうしたのかも知れない。もしそうだとしたら相当に議論になっただろう。試合の場面では一体全体どれほどのエキストラを集めたのだろう。あの大きなスタジアムだから余計に大変だっただろうと思われるし、一体どれほどの金がかかっているのだろうか。某映画の企画ではどうやって1000人を集めるかで大いに悩んでいるらしいけれど。
 当時、私は豪州に行ったばかりで、南アフリカと同じグループの初戦で豪州は南アフリカに負けてしまい、現地の新聞が激しい論調で書いていたのを思い出す。しかも豪州は決勝トーナメントでイングランドにも負けてしまう。タクシーに乗ったときに、運転手からどこから来たかと尋ねられ、日本から来たと答えたら、日本がニュージーランドに145点取られたことをいわれ「わかった、わかった」と言い返したことを想い出す。豪州の新聞にも大きく書かれていたからだ。
 この映画の中でもモーガン・フリーマンネルソン・マンデラが「それは一試合での得点か?」と聞き返す場面がある。
 サッカーのワールドカップ開催のこの年にこの映画が南アフリカに大きな力となると良いのに、という気にはなる。この映画の良さであり、また作られすぎている感がしないでもないのは、この映画にはヴァイオレントな場面が一切ないことによるのかも知れない。実際には様々な問題が山積みで悩ましい国ではあるのだけれど。悩ましい点では私たちの国も人後に落ちないが、何となく、あのタイミングでのあのイベントが私たちの国では何になり得るのだろうかと考えてしまう。

 ところで「Invictus」の意味って何?って聴かれて困った。これは英語じゃないだろう?多分ラテン語?映画の中でネルソン・マンデラが引用するWilliam Ernest Henley(1849-1903)による詩のタイトルだそうだ。詩そのものはこちら