ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

みんな、どうしているんだい?


みんな若かった!
Boz Scaggsも若かった!
 私はこの前年にここでいくつかのバンドを見た。当時の街中はかなり安全で、お世話になっていたピアニストのアパートまで夜中に歩いて帰っていた。もちろん金がなかったからである。
 Fillmore Westは確かマーケット・ストリートに面していたんじゃなかっただろうか。当時はBARTなんて走っていなくて、トラムが走っていたからケーブルカーからトラムに乗り換えていった。
 入り口に列を作って開くのを待つんだけれど、その列に沿って、「Quarter Please!」と叫んで歩く奴がいる。待っている連中から25セントずつ貰って塵も積もれば山となる形式に金を集めて入ろうとしている奴だ。
 そのうちにトレイにパイを載せて売って歩く奴がいる。「マリファナ・パイ」だというのだ。食べちゃうのであるか?!
 中に入ると殆ど体育館というか、体育館そのものだった。床に座り込んで聴くというわけだけれど、今の子どもだったらスタンディングって奴だったんだろうなぁ。あれはだめだ。何しろ疲れるし、なんたって全然癒されねぇよ。
 あの年は二人も重要人物が死んだ。ジャニス・ジョップリンとジミー・ヘンドリックスだ。その二つとも、ここの会場で知った。その頃の私はこの会場ではもちろん高校生に見られていた。概ね「16歳くらいか?」といわれた。
 夏だっていうのにあの街は寒い日があったりして、そうかと思うと「インディアン・サマー」とみんながいうんだけれど、くそ暑い日が来たりした。
 街中にはヒッピーなのかホームレスなのか分からない連中がしょっちゅう歩いていて、コインランドリーで洗濯をしていると入ってきてはタバコを持っていたら一本くれないかと無心をしていった。私が持っていてしかもその態度がフレンドリーな奴だったらあげていたけれど、いやな奴には「俺はスモーカーじゃない」といって遠ざけたものだ。
 貧乏だったけれど、なんだかつかの間の夢のような空気が流れていた。そんなことをいってははなはだ申しわけがないけれど、良い時代を過ごしたものだ。