ほぼ足りてまだ欲 その先

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芸人

 ほとんどの芸人は売れてからよりも、売れる前の方が数段面白い。ま、例外というのはどこでもあるけれど、あんまり外れはない。多分売れると、使い捨てのテレビに使い潰されちゃうからだろう。
 タモリだって例外じゃない。世界で一番長寿命の番組司会者だったなんてことでいつの間にかテレビ界の大御所みたいなことになっちゃっていて、例の昼の番組が終わったら、書店の店頭に何冊ものタモリ本が並んだ時には、全くの話、とんでもないと驚いた。
 彼を初めて知ったのは多分今のテレビ東京のモンティ・パイソンの番組に大きな蝶ネクタイを着けて眼帯を付け、髪の毛をぺったりして出てきて、鶏だ、イグワナだとやっていた時だろうと思うけれど、話の特集山下洋輔赤塚不二夫が書いていた中に出てきていたのはそれより前だったのか、あとだったのか。
 あの頃のタモリはほとんど何をするかわからんような奴で、危険極まりない雰囲気だった。そこが良かった。でも、彼は売れてからつまらん蘊蓄旦那になっちまった。テレビが際物芸人としていたものを田辺昭知が押し込んだのかどうなのか知らんけれど、儲かる様に作られていったけれど、面白かったのはいつかといったらあの頃だ。
 タモリが言っているから、タモリがやったから、出演者の年下の連中が「へぇ〜!」とか「やりますねぇ!」と持ち上げてできあがっているけれど、実際にはその辺にはそれ以上に知っているし、やれる爺は掃いて捨てるほどいる。もうとっくにつまらなかった。
 今でも彼が最初に出したアルバムを聴くと、実にばかばかしく面白いが、そんな表舞台の録音ですらこれだから、ゴールデン街でこれをやって遊んでいた頃はさぞかし抱腹絶倒だったことだろう。
 漫才コンビでいやというほどテレビで顔を見る連中だって、「漫才だ!」といってやっていた頃は実にばかばかしくて楽しかったのに、売れて、徐々に「大物化」すると実につまらなくなる。爆笑問題にしたって、「欧米か!」だって、今や「こいつら、なんだっけ?」といっちゃう存在になっちまった。これでどうしてU字工事と扱いが違うんだよ?と憤懣やるかたない。その点で漫才以外に出てこない「ナイツ」や「ぴろき」はまだ面白い。