ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

国労 政治決着

 今月の上旬、与党3党と公明党の実務者が9日午前、組合員側に政治解決案を提示した。ひとり平均約2200万円の和解金などを支払うとともに、JR各社に雇用への協力を要請することで、組合員側は受け入れることを決めたわけだ。これも最初は2400万円といわれていたけれど、党内から異論が出て200万円減額された。この異論というのは何だろう。「政府はJRへの雇用について努力する。ただし、JRによる採用を強制することはできない」という一文が付いていた。朝日新聞によれば「国鉄民営化に伴いJRが不採用としたのは1,047人で、その9割は北海道と九州の国労組合員だったという。

  • JR北海道中島尚俊社長は14日の定例記者会見で「採用は困難と考える」と発言。
  • JR貨物の小林正明社長も同日の定例記者会見で「とても受け入れできない」と述べた。
  • JR九州も「既に解決済みの問題」との考え
  • JR東日本は「交渉の余地はない」
  • JR東海も「決着済みの問題」と、拒否の姿勢のまま。
  • JR西日本は「協議の席には着くが、その先は難しい」と否定的だ。
  • JR四国は「政府からの要請が来ていない今の状況ではコメントできない」

 要するに国労なんかに地位保全なんかするものか、である。
 国労は強行に労働運動をしていたから国鉄運輸省自民党から見たら眼の上のたんこぶだった。なにかといえば国労が一番ストライキをしていた印象が私にもある。それにマスコミからすり込まれる印象としても、国労はなにかというと不当労働行為に走るというイメージをこの私だって持っていた。
 ウィッキペディアによると鉄道労連はJR全社で99%以上がJRに採用され、鉄産労連所属のJR採用率は低い会社でも80%前後だというから、徹底的に国労は排除されたということだ。
 民営化されると抱え込んでいる国鉄の赤字が綺麗さっぱりになるはずだし、そのためには労働組合、それも先鋭化しているといわれる国労なんてぶった切ってしまうのは当たり前だろうという印象を多く持っていた。バサッと斬られてしまうのはなんだか猛烈なやり方かもしれないけれど、近代化される国鉄、脱皮したJRになるためにはそれもしょうがないんだろうとしか思っていなかった。
 しかし、あれからどんな良いことが起きてきたのかと思うと、金を経費として使うことのできる人びとに対して便利になっていく鉄道網を目指していたことが分かってきた。ゆっくりでも良いので、安くのんびり旅をしようとする人びとは一切眼中にない鉄道網を目指してきていたことにようやく気がついた。
 新幹線は儲かるところには早い奴しか走らせない。それは運賃が高くなる。鈍行の在来線はみんな中途半端に細切れに走り、長い距離を鈍行で行こうとする人間は何度も乗り換えを要するようになった。
 ひどいところでは信越線の横川-軽井沢間のように在来線は分断されてしまって新幹線でしか行かれない。代替えのバスは一日に数便だ。
 挙げ句の果てには軽い車両の開発に邁進して必要のない事故を誘発してきた。儲かるところでは綱渡りダイヤにしてきた。事故が起きても頭を下げたら終わりで、責任者は子会社に天下るだけ。「付いていなかった」という意識しか持っていない。やっぱり、国鉄時代と官僚的思想が染みついているのは変わらない。なにも変わっていない。時間はあるけれど金のない人たちには売るサービスはないという鉄道網になった。民営化というのはこういうことだろう。あの当時は想像ができなかったけれど。
 23年間やりがいというものからほど遠い生活を送って彼等は人生の表舞台から降りる。その後ろ姿に「ごね得」と声を掛ける奴もいる。それを新聞が記事にする論調は、彼等は辛い時期を送ったというものだけれど、じゃそのどれだけがあの国鉄民営化の際に国労組合員の不採用についてキャンペンを大きく貼ったのだろうか。
 2003年12月22日、最高裁判所は中労委と国労の上告を棄却し、「JRに責任無し」の判決が確定して10年前に四党合意が提示されたけれど、決着しなかった。(ウィキペディア
 今月14日の産経新聞の「主張」は産経新聞らしく「ごね得」と組合に支援された民主を叩くための論を張っているけれど、この時の四党合意を全く忘れているようだ。