ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

ジェンダー

 実は1999年の1月まで私は「ジェンダー」という言葉を知らなかった。全く知らなかった。今になって考えて見ると驚くべきことである。当時私は51歳である。前月まで会社員だった。当時はそういう社会だったのだろうか。女性の総合職社員が私が働いていた結構旧態依然とした会社でもその6-7年前には実現していた。帰国子女の人だったけれど、なにかといっては「あの子は総合職なんですよ」といわれてやりにくかったことだろう。周りも彼女をどう扱って良いのかわからない状況だったのではないだろうか。私が男女共同参画という言葉を理解していたかどうかもはなはだ怪しい。人権週間で語られたのは同和問題だけだったような気がする。その同和問題も同じ職場の人が「こんなことを教えなきゃいいんだよ、教えるから気がついちゃう」というのを聴いて、なるほどこの程度の認識でしきゃないんだなと、現実を知ったことを思い出す。
 ことほどさように現場では何も語られていなかった。セックス・ハラスメントという言葉は大いに普及していた。しかし、それは概ね冗談の中で普及していたに過ぎなかったし、上司は冗談に「こりゃセクハラじゃないけどなぁ」と云いながらあからさまにセックス・ハラスメントとなる発言を繰り返していたような職場だから、そうした意識が大変に希薄だった。そうした雰囲気の中で会社を辞めて、学校に戻ろうとして受けた試験の中にただ簡単に「ジェンダーについて述べよ」と書かれていたものがあって、私はその設問を選択しなかった・・というより選択のしようがなかったというべきだけれど、全く知らなかったのが今考えると怖ろしい。