ほぼ足りてまだ欲 その先

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武道

 この4月から中学校で武道が必修化されるんだそうだ。中学からというのはちょっと意外だった。なぜならそんなにたくさん武道の授業を教えることのできる先生が全国各地の中学校におられるのかという疑問があるからだ。もちろん中学生に教えるわけだから、大して深いところまで教えるだけの時間があるとは思えないけれど、それにしたって知識は必要だ。
 私が在籍した公立高校では当時やはり武道が必修で、わが校では柔道を取らなくてはならなかった。一年生は全員柔道着を買い求めることを要求され、柔道がある日は柔道着を腕に通して通うことが必要だった。今から考えると、そういえば当時そうした柔道着を持って通学していることが不自然でなかったのだろうか。
 もちろん必ず柔道を取ることになっていたのではないのだろうけれど、多分剣道は道具に金がかかルというので柔道になっていたのではないかと思う。剣道の授業を実施していた学校があったのかどうかよく知らない。
 なぜかわがクラスは一時間目の体育の授業が武道で、夏はまだしも、冬になると剣柔道場に行ってみると、ビニールの畳の上には霜が降りていて、まず道着の上着を拡げて、その上に乗って着替えをした記憶がある。
 わが校の柔道の先生は結構お歳で、大きな人だった。技を教えるところではとんでもなく慎重な人だった。とにかくまずは受け身なのだけれど、ひとりひとり受け身をやってみせる。右手の先を畳のところまで持ってきておいて跳ねてごろんと背中から腰で転がって左足の先で立つ。しかし、そんなことが自分の思うように動かすことができる奴ばかりではない。すると、そいつのところでは、段々「君はやらなくて良い」といい始める。
 投げ技は支え釣り込み足から始まるのだけれど、この辺はまだ良い。問題は背負い投げになってからだ。相手を引きつけて背負う。そこまで「1 - 2」で来て止まれという。そこで全員が正しくできているかを確認し、相手の右袖を左手で掴んでいるか、そして投げたらその左手で相手の袖を引き上げることを意識させ、「さぁ〜ん!」といって一斉に投げさせる。
 合図より早く相手を投げた生徒はこっぴどく怒られた。みんなとってもびっくりした。なんでそんなに怒られるのかと。
 誰かがその先生の前任校での話を聞き込んできたそうで、あとでわかったのは、その先生は前任校で柔道の授業中に怪我人を出していたのだった。どんな怪我だったのか、どんな状況でそうなったのか、誰も知らない。
 中学校での武道の必修化を聴いてまず最初に思い浮かべたのがこの話だった。高校生でも難しいのだ。