ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

繰り返す

 自分が中学、高校の頃、アジア太平洋戦争の話になる度に、なんでそんな状態にこの国の社会が転がり落ちていったのか、そのきっかけが良くわからないとは思っていた。まさか2.26がそこに至るハンドルを切り替える大きなポイントであったとは思わずにただ単に日本史の中の項目の一つとしてしか理解していなかった。つまり、歴史を勉強していたんではなくて、受験技術の習得というものに振り回されていたということだ。先生方がどんな意識を持ってそれを扱っておられたのか私には良くわからない。
 確かうちの死んだオヤジは2.26事件の直後に就職している。「大学は出たけれど」という時代だったらしい。つまり一番脂ののりきった青春時代があんなきっかけとなった時代だったわけだ。
 そのオヤジに「なんであの戦争を止めることができなかったのか」と聞いたことがある。随分きついことをいったものだということができるのは今になってからだけれど、単純なる私は国民一人一人が自覚をして、そんな方向に向かう国家に「NO」を突きつけたらそんなことが起きるわけがないではないかと主張した。
 私が高校から大学の学生だった頃、テレビのニュースでベトナムの惨状を聞くにつけて私が「反対」の意思をあらわにすると、あたかもそれをからかうかの如くオヤジは「これで日本は儲かるんだ」といっていた。このどうしようもないオヤジは話をする価値もないといって私は殆どオヤジと口を利かない日々が続いていた。
 私が家庭を持ってオヤジから自立してもう随分経ってからオヤジは学生時代の友人と共に彼らの戦争中の様子を文字に残した。それを読んで驚いた。彼は徴兵されて北支に従軍した。つまり侵略軍の兵隊だったわけだ。大学卒なんだから試験を受けろといわれたらしいのだけれど、そんなことになるとずっと軍にいることになるからとなんだかんだと逃げ回ったと書いてある。そこに証人がいるわけではないから、本当に彼がそう思っていたのか、戦後随分経ってからのことだから、そういうことにしていたのかはわからないけれど、彼は反戦意識を持っていたのかも知れないし、私にベトナム戦争について、あんな価値観をわざと示して私のベトナム戦争への関心を確かめたのかも知れない。消極的戦争忌避を示していたことになるのだろうか。
 さて、私たちの現在はどうだろうか。このままにしておくと、自民党が選挙に勝って憲法が改正され、国民の人権は公の秩序に反しない限りの限定的なものとされてしまって、徴兵制度が施行され、国防軍が復活。天皇が元首となって原発運転、核兵器の公然装備、への道が大きく開けていくことになる。
 私たちはこれから先の日本国民世代に大きな禍根を残していこうとしている。「なんであの流れを阻止してくれなかったのか!」というそしりを免れるのは殆ど無理だということだ。
 しかし、今のマスコミの煽り方を見ていると、今度の参院選挙は一挙にこの国をそっちに向かわせるきっかけになりそうだ。