ほぼ足りてまだ欲 その先

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なけなし

 世の中の詐欺師というものは昔の西洋の田舎廻りの偽万能薬売りのような、それこそオペラ「愛の妙薬」のようなものはもういない。もっともっと手が込んでいる。一見それとはわからないシステムを作り出している。その渦中にいる者達には、あたかも宗教のような思い込みの世界に入り込んでいることになかなか気がつかないらしい。しかもこんな事件は洋の東西を問わず、枚挙にいとまがない。
 最も大がかりなものになると、ウォールストリート全体を巻き込んで、破綻するのが当たり前なのに、「金融工学」だなんて大嘘つきの世界にどんどん嵌っていく。
 「えっ!じゃ、私は『投資家!?』」なんて言葉をどんどん振りまくことによって、その詐欺師の手先のいうことにどんどん信憑性を持たせていく。そりゃ、宝くじを買うように千円だ、三千円だと金をかけている分には大した怪我もしないだろう。しかし、それが年金二ヶ月分をまるまる放り出すようになってくると話は違ってくる。
 世の詐欺事件の顛末をテレビのニュースなんかで聞いていると、なんでそんな話に何百万円も、それこそ「なけなし」の金を放り出しちゃうんだろうという気にならないでもない。
 しかし、そうしたことに手を出してしまう多くの高齢者にとっては「一体いくつまで生きるかもわからないし、そのためには生活資金を持っていなくちゃならないし、しかし、この金じゃ、それを乗り越えることができるかどうかわらないし、そうだ、これだ、これにかけてみよう!」という気になってもおかしくないだろう。
 これはもう死活問題なのだ。破綻が今来たか、十数年先に来たかの違いでしかないかも知れない。
 しかし、ではなんでこんな事態が解決されないのか。
 もし、何歳以上になって介護の必要があって、資産がいくら以下であれば、無条件で施設で暮らすことができるというシステムにでもなっていたら、こんな事を考える必要がなくなるのではないか、という議論があっても良い。
 しかし、むしろこんな事に国庫から出資するのであれば、そんなことより、世の中で多くの資産を集めることのできる企業を応援した方が良いと思っているのが政権なのだから、この国がそんな観点を持つわけがない。
 むしろこの政権が喧伝しているなんとかミクスそのものが大がかりな詐欺なのだから。