不思議なことに「当たり前」という基準がどんどん変わってくる。例えば、かつて飛行機の中で提供される食事というのは不思議なくらいに美味しかった。それは滅多に乗らない乗り物だったからことさらそう感じるというのではなくて、多分航空運賃が相対的に高いものだったからだろう。それがどんどん貨幣価値から見て安い、という部類に入る様になると、食事なんてそんなに金は掛けられないから、どんどん手を抜き始めることになり、今や、飛行機の中で提供される食事はほとんど対したことがないという状況に安定してきている。もちろんビジネスクラス以上のシート区画で提供される食事はそんなことはなくて、各社は競っている様に見える。
それと同じ様にエコノミークラスで提供されるサービスの質もどんどん低下して、今やかつての近鉄特急内で提供されたおしぼりにも劣る様なサービスしか提供されなくなってきた。サービス提供員の方も自然にそうなってくるらしくて、今や言葉の使い方はおろか、客に対する態度の取り方なんてものまで全く教育されていないと断言しても良い時代に突入してきている。あの狭い通路ですれ違おうとして、彼らが後ずさるということは金輪際なかったり、向こうが「sorry！」というべきところで、こっちにいわせて全然平気、という具合。
時代はどんどんそういう細かいことがないがしろにされていく。
