ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

万全 安部

  • ご家族のご心痛を思うと言葉もない。政府として全力で対応してきたが、まことに痛恨の極みだ
  • 非道、卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを覚える。テロリストたちを決して許さない。その罪を償わさせるため国際社会と連携していく
  • 日本がテロに屈することは決してない。食糧支援、医療支援といった人道支援をさらに拡充する
  • テロと戦う国際社会において、日本としての責任を毅然として果たしていく
  • 今後とも国内外の日本人の安全に万全を期していく

 今朝の安倍晋三の記者会見での発言(ロイター2015年 02月 1日 07:18JSTこちら)。
 自民公明連立政権がこれまでいい続けてきたいわゆる「戦後レジームからの脱却」はいうまでもなく日本国民が痛い思いをして学んできたことをすべて抹消して忘れ去るということを意味していた。つまり、300数十万人の犠牲と引き替えに手にしたものを何もかも放り出すということだ。しかもその無謀且つ思慮に欠けた言動が国内のごく限られた身内の中で容認されていた事だったのを全く思い違いをして、公の場、それも国の境を超えて許されることだと思い込むに及んだ。彼らこそが「平和ぼけ」であると指摘しなくてはならない。しかし、彼らにはかつてからその様子は分かりきっていた。その連中をこのようなスタンスにおいたのは誰あろう、日本国民自身である。
 では、しがらみ、メンツの何もかもを放り出して自民公明連立政権は果たして全力を費やしただろうか。
 常岡浩介はNHKの取材に対して「ツイッターで映像を見たが、何とか助けられたんじゃないかと思うので非常に残念です。拘束されたと分かった時点で、政府はイスラム国側に対して水面下で交渉したり、私たちのチャンネルを生かして交渉したりすることができたと思うので、なぜこういう結果になってしまったのか残念でなりません」とコメントしている。常岡浩介と中田孝は外国人特派員記者クラブでの記者会見等で「チャンネルがある」と発言していた。つまり、政府は彼らの力を借りることは全くなかった、ということだ。フリーのジャーナリストたちに対する政府のスタンスはずっとこうしたものでありながら、危険な現場に命を賭してでかける彼らからの情報がなければ在日本の放送局はほとんど何も報じることができないにもかかわらずである。
 福島第一原発事件に関しても、政府・東京電力はフリーのジャーナリストをないがしろにしてきたし、今もそうしている。これは辺野古の現場でも全く同じである。
 もちろん、ISの誠に乱暴な、人間としての資質に欠ける人を平気で殺めるという暴力は全面的に否定されなくてはならない。そういう意味では、現在のイスラエルの行為を是認することも人間的であるとはいえない。
 安倍晋三は「国内外の日本人の安全に万全を期する」といっているが一体どのようにして万全を期するというのだろうか。年間1600万人を超えるといわれている海外への旅行者、125万8,263人(海外在留邦人数調査統計2013年10月1日現在)といわれる在留届を出している在外邦人の安全の確保にどうやって万全を期するというのか。そんなことができるわけがない。旅行者はビジネス目的以外を禁止でもするのか。海外に暮らす日本人は日本に帰ってこない限りは見捨てるとでもいうのか。そして日本を鎖国するのか。こういう絵空事を発言することは身内、自民党内、連立内閣中であれば許されるかもしれないが、これを公にすることは無責任以外の何ものでもない。彼の今朝のコメントをよく見ると、彼は一言も陳謝していない。すべてが完了した雰囲気の中で、関係者にねぎらいの言葉を発している。「私たちは良くやった!悪くない」と宣言しているように聞こえる。殺害された二人の状況を知りながら脅されるまで公表もしなかったし、何らかの手を打っていたようにはとても思えない。
 武器輸出、原発輸出で日本企業が儲けられるようにしたことによって、安倍晋三は確かに彼のいう「戦後のレジーム」から脱却することによって、日本を高邁な思想を捨てさせ、その辺のごくありふれた、思慮に欠ける国家へと導いてしまったということは指摘しておかなくてはならない。
 そして、こういう愚挙をそのまま迎合する風潮を厳しく戒めなくてはならないが、それはひとえに日本国民の肩に掛かっている。日本国民がこれを選択するのであれば、はなはだ愚かなことだけれど、この国を貶めた時代の人民であることが後に伝えられることになるだろう。
 後藤健二氏の死が犬死にとならないことを切に祈りたい。
 そしてこれを機会に、自衛隊の海外派兵を可能になんぞさせてはならない。

NHK

 ISの今回のネットにアップされたメッセージの中で黒装束の男は明確に「Abe」と呼びかけている。断じて彼は「Prime Minister Abe」とは呼びかけていない。それを「安倍総理大臣よ」と報じるのは明らかな間違いである。