ほぼ足りてまだ欲 その先

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百人一首

 私ぐらいの年代のじいさんがほとんど百人一首を知らないと言ったら、こりゃ恥ずかしいよねぇ。なんたって正月に百人一首が出てくるのは当然といった時代だったのだから。ところがお恥ずかしいながら、私は百人一首をほとんど知らない。知っているのは落語に出てくる歌くらいなものだ。
 あれは高校1年か、二年のときのこと。冬休みに百人一首を覚えてこいと古文のODJという先生が課題を出した。この人はラジオなんかに出ていたくらいで、自信満々な教師で、俺はこんなところでこんな連中に古文を教えているような人間じゃないんだ臭がプンプンとするやつで、その上、可愛い女生徒には目に見えて贔屓をしたりする。つまり、私は最も忌み嫌うタイプの教師だったのだ。
 多分彼は正月の課題としては実にぴったりだと悦に入っていたに違いない。で、冬休み明けに学校の講堂に学年全部を集めて試験をした。私は全く無視したので、パスしなかった。パスしなかった連中には百人一首を3回全部書いてもってこいという課題を出された。それくらい書けば覚えるだろうという考えだったのかもしれないが、とにかく教師がいやだから勉強しないという非常に短絡的な幼い考えだったので、それもいい加減に済ませた。それで今の今まで知らない歌ばかり。
 北斎の残した絵の中に百人一首のシリーズがあるが、これを見て、諳んじられる歌が少ないってのはこの歳にしては悲しいものがある。