8月27日以来随分久しぶりに保阪正康氏の話を聞きに行くことができた。9月に入ってから出かけてしまったので、丸2ヶ月間をおいての会だったので、どうも座りにくい雰囲気。そんなわけはないのに。
保阪の父親が終戦時北海道の札幌で中学の数学の教師をやっていた、という話は聞かされていたし、彼も「風来記」なんかでも書いているから知っている。しかし、中学の教師になる前にどうやら北大の数学研究者だったのだそうだ。しかし、配属将校に睨まれてやめたらしい。それで戦後、息子に大いに数学を期待したのだそうだけれど、保阪は高校に入ってからそれがいやになって、数学、物理を放り出したのだそうだ。
ところが後年、保阪の父親の教え子であった厚生省の審議官に遭遇したことがあった。その教え子がいうには、君のお父さんは凄い人で、入ってくるなり、数学をやる気がない生徒はそれで良いから後ろに座って好きなことをやっていろ、やる気のある奴は前に座ってなんでも聞け。質問があったらいつでも良いからウチにでも来いといったんだと。保阪の記憶では確かにウチに生徒が来ていたと。
その話をどこかでしたら、今、教師がそんなことをしたら大変なことになる、のだそうだ。権利の侵害だといわれてしまうのだそうだ。
この話を聞いていて私は思わず大笑いをしてしまった。実は私のオヤジは工学系の学科を出ており、数学は旧制中学の頃から得意中の得意だったのだそうで、私が高校に入ってから、教師が嫌いだからと云う理由で物理と数学を放り出したときに、うちの親父が「数学をなんでやめたのだ!」と怒ったのを想い出したのだ。
保阪は今二つの高校で話をしているのだそうだ。一つは中高一貫校だけれど、もうひとつは都立の高校で、そこでは前に座っている女子高生が化粧を初めてびっくりしたという。しかし、様々なことを図解して話すことにしているのだそうで、今度の岩波新書「昭和史のかたち」ではそれを試みたという。
日本のファシズムは四角で構成されていた。「情報の一元化」「国定教科書の軍事化」「治安維持法」「官民挙げての暴力」(記憶が不確か)の四辺からできていたのだ。この四つの辺をどんどん狭めて圧迫する。
今この世の中をかえりみると、「暴力」だけが未だ現れてはいないけれど、その他の三辺は既に明らかではないかと。
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今日は昨日に負けないくらい歩いたかなぁと思ったんだけれど、結局一万歩に足りていなかった。