ほぼ足りてまだ欲 その先

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仕組み

 【ジャカルタ共同】国際協力銀行JBIC)は3日、インドネシア・ジャワ島の石炭火力発電所建設計画で、日本の商社などが出資する地元合弁会社「ビマセナ・パワー・インドネシア(BPI)」と、約20億5200万ドル(約2234億円)を融資する契約を結んだ。日本が進める東南アジア最大級の石炭火力発電所の建設が本格化する。
 BPIには伊藤忠商事電源開発(Jパワー)が出資している。今回はJBICのほか、日本のメガバンク3行なども協調融資に加わり、融資総額は約34億2100万ドルに上る。
 発電所の予定地は中ジャワ州バタン県にあり、出力は計200万キロワット規模。(
東京新聞2016年6月3日 21時20分)

総額約5000億円規模の石炭火力発電所プロジェクトの融資期限が4月6日に迫っている。東南アジア最大級の発電所建設計画の行方はどうなるのか──。
 問題が指摘されているのは、日本企業がインドネシア・ジャワ島中部で進めている、バタン石炭火力発電所。人権侵害を引き起こしているとして、現地の公的機関から批判を浴びているのだ。
 同発電所は、日本の大手電力会社J|POWER(電源開発、以下Jパワー)と伊藤忠商事が現地の大手石炭採掘会社と共同出資し、ビマセナ・パワー・インドネシア(BPI社)を設立して事業を進めてきた。
 計画されている発電所の規模は合計出力200万キロワット、総事業費は45億米ドル(約5080億円)を見込む、東南アジア最大規模の電力卸売事業だ。
 日本とインドネシアの官民パートナーシップ方式(PPP)に基づく初めての事業でもある。2011年10月7日に、25年にわたる長期電力供給契約を締結し、プロジェクトがスタートした。
 国土交通省の資料によれば、三井住友信託銀行など大手銀行が融資に関与するほか、日本の政府系金融機関である国際協力銀行JBIC)の果たす役割も大きい。
 3月23日の参議院財政委員会で、共産党倉林明子参議院議員の質問に対して、渡辺博史JBIC総裁は「当行には21億米ドルの融資が期待されている」と答えている。
 しかし、バタン火力発電所の建設計画は難航している。当初は2012年にも着工し、2016年末に1号機の運転開始を見込んでいた。ところが土地取得に時間がかかっているため、融資実行期限が延期され、今回4度目となる融資期限が4月6日に迫っている。
 この間、建設反対派住民に対して逮捕や脅迫行為、灌漑(かんがい)用水の遮断など、さまざまな妨害が行われているとして住民から指摘されてきた。
 インドネシアの国家人権委員会は、住民の訴えを重く見たうえで人権状況の改善を要求している。これまでに、事業主体であるBPI社、用地買収に関与してきたインドネシア国有電力会社、中部ジャワ州知事やジョコ大統領に、人権擁護を求める勧告や要請を繰り返し行ってきた。
 日本でも4度にわたって衆参両院で野党議員から進め方に問題があるとの指摘がされてきた。
 インドネシア人権委員会も、2015年12月21日付で安倍晋三首相および大島理森衆議院議長宛てに、「住民への脅迫など土地買収手続きに関してのさまざまな人権侵害が見られる」との書簡を送付。「日本の関与を慎重にレビューするよう、配慮願いたい」と要望している。
 こうした状況を、BPI社の筆頭株主であるJパワーは「法にのっとって土地取得を進めており、人権侵害はなかったと考えている。社会貢献活動や住民への支援にも取り組んでいる」(国際業務部)と説明する。
 同様に、大株主の伊藤忠商事も「これまでにも国家人権委員会による勧告を十分に尊重しながら事業を進めてきた。住民説明会や代替地紹介など、さまざまなプログラムを実施してきた」と強調する。
 つなぎ融資に応じてきた大手銀行は、各行とも「個別案件についてはお答えできない」としているものの、「一般論として人権に関するガイドラインについては、『赤道原則』(大規模なプロジェクトファイナンスにおける環境・社会への国際的な配慮基準)に基づき、環境や人権などに配慮して融資している」(三井住友銀行)という。
 だが、インドネシアの国家人権委員会は、2015年9月3日付のジョコ大統領宛て要請文で、「住民は計画について、明確で透明性があり、包括的な情報を得ていない」「住民は最初から参加する機会を与えられておらず、願いや意見は完全には反映されていない」と述べている。
 さらに、現地ではインドネシア国有電力会社による土地収用手続きの是非が最高裁判所で争われている最中だったにもかかわらず、収用手続きが終わっているとして、1月には反対派住民が所有していた農地に、「出入り禁止」「違反した場合は刑事罰が科される」と警告する看板が次々と設置された。
 3月24日には建設工事の本格着工のため、農地をフェンスで囲ったうえ、ゲートを封鎖し農民が出入りできないようにした。
 現地の情勢に詳しい国際環境NGOFoE Japanの波多江秀枝氏は「農民は農作業も困難になり、生活の糧を失う状態に追い込まれている」と指摘する。
 プロジェクト遂行のうえでカギを握るのがJBICだ。自らが定めた「環境社会配慮確認のためのガイドライン」に基づき、これまでに反対派住民や事業主体、地元自治体からの聴取を実施してきた。
 ガイドラインには、現地国の法令のみならず、世界銀行などへの基準適合を確認したうえで、「日本など先進国が定めている基準またはグッドプラクティス等をベンチマークとして参照する」としている。「適切な環境社会配慮がなされない場合には、融資等を実施しないこともありうる」との記載もある。
 そもそも司法判断が確定していないうちから出入り禁止の看板を農地に立てたり、補償手続きも終了していないうちに農作業を制限したことは、権利侵害に当たらないか。
 JBICの報道課は、「土地収用の法律にのっとって適法に手続きが行われていると認識している。現時点で具体的な人権侵害の事実は確認できていない」と答えているが、十分な調査が行われているかは、疑問だ。厳格なガイドラインを持つJBICの説明責任は重い。
(「週刊東洋経済」2016年4月9日号<4日発売>「核心リポート01」

 とまぁ、こんな案件なんである。先の東京新聞の記事だけを見ていたらわからない。何だかこの組み合わせでこの案件は匂うなぁと、ネット上で検索してみたらこんな記事が見つかった。海外への支援のように見えるけれど、その実態は(いわゆる)先進国が資本を投下して他国から吸い上げるという旧態依然たるやり方そのもの。そんなことはない、現地に電力を現地の燃料を使って供給する重要なインフラ案件だということになるのだろう。とかく憂き目を見るのは現地の個人だ。