美術館はめぼしいものは足を運んだ気がするのだけれど、行ってない、行きたいと未だに思っているのがまだまだある。そのうち、大きなもののひとつがロシアのペテルスブルグにあるエルミタージュ美術館。アムステルダムの支店にはお邪魔したことがあるけれど、あれはごくごく一部だと聞いているので、本店に足を運んでみたいものだと思っている。それでも、ロシアという国はまだお金に困っているみたいで未だにヴィザを要求している。面倒くさくて個人旅行をする気がまるで起きない。ひとつにはプーチンが気持ち悪くてしょうがないということもある。未だに大国面しているのが気に入らない。
で、某旅行代理店が主催するエルミタージュに関する講演会があったので、足を運ぶ。人形町というか、水天宮さんの界隈というのか、中央区が持っている日本橋公会堂である。前に柳家権太楼の一門会で来たことがある。申し込みがたくさんあるらしくて、朝10時から座席指定を開始するも、開演は13時という、それはそれは人気のイベントらしい。随分前にご一緒した添乗員の人にバッタリ逢う。こっちも相当老けたが、彼女もかなりベテランになってきた雰囲気だ。
座席券を貰ってから人形町から蛎殻町、小舟町を巡って人形町に戻ってきてからイタメシ屋TRATTORIA OLTREでランチにする。パスタを取った。女性好みの味付け。癖がない。壁に書いてあったメニューを見て、夜にも一度来てみたいなと思った。
講師は「名画は嘘をつく」シリーズの著者、木村泰司。NHKのカルチャーやAsahi Culture Centerでもレクチャーをしているようで、話は抜群に面白い。「ほぉ〜、なるほど!」と何度もいってしまう。ちょっとくせのある雰囲気で、いかにも外国に長い日本人の声の出し方だ。いつだったか乗ったデルタ航空の日系男性CAにそっくりな声。くせになる。おばさまファンがついていそうな気がする。
かつてのソ連時代と今のロシアについて新旧の添乗員が掛け合いでスライドを見せてくれる。そして若手のピアニストの佐藤幸子さんのラフマニノフ。しずしずと出てきたピアノを見て驚いた。名器として名高いベーゼンドルファ275なんである!超一流だ。中央区は金あるんだなぁといったら「何をいっているんだ、銀座、勝鬨を抱えた中央区だぞ」といわれた。私にとってベーゼンドルファといったらOscar Petersonなんだけどね。続いて現れた青年はストラディヴァリウスを抱えた16歳の天才、河井勇人。この旅行会社の役員の息子だそうで、14歳で若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール第10回記念大会第一位だというから本物か。ピアノの伴奏でチャイコフスキーのバイオリン協奏曲の第一楽章を弾く。オーケストラで聞きたいね、このコンチェルトは。
家に帰ってきたらやけに草臥れておって、あれ?と思ったら久しぶりに1万歩を超えていた。