ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

映画

 明け方、4時すぎにトイレに起きた。面倒だから朝飯を取ることにした。いくら私でも、これは相当早い部類に属する。テレビをつけると、WOWOWシネマで2007年の「ゾディアック』(原題:Zodiac)が始まったところだった。1968年から1974年にかけて、サン・フランシスコからバークレーの北部の地域にかけて発生した、実際の連続殺人事件の犯人を追うという映画で、原作を書いたロバート・グレイスミス(Robert Graysmith、役者はJake Gyllenhaal)が主人公で、実際にあった新聞社が登場し、実在人物が登場する。犯人は特定できるのだけれど、状況証拠しかなくて、起訴できない。当時の日本だったら平気で状況証拠で起訴して有罪になっちゃいそう。あ、今でもその危険を孕んでいるかなぁ。もっとも安倍晋三の知り合いだったらどんなことをしても不起訴で終わるけれどね。東京電力三悪人然り。
 映画の中でも語られるけれど、ロバート・グレイスミスはこの事件に関する著作を著している。もちろん日本語訳番も出版されている。

次の放送はWOWOWプライムで2020年6月14日午前7時半。

 ロバート・グレイスミスはSan Francisco Chronicleのカトゥーニストなんだけれど、昔から暗号に興味があって、横から見ていたこの事件で犯人が暗号手紙を送ってくるところから首を突っ込み、そのうちどんどん深みにはまる。ずっと捜査に進展がなくて、行き詰まっている状況から、どんどんどっぷり浸かる。家族が別居するくらい。このあたりの雰囲気は、「未知との遭遇」のリチャード・ドレイファス演じるところのロイ・ニアリーそのものみたいな状況だ(もちろんドレイファスの名前がポンとは出ないで、いい加減に書いて検索した)。だいたい、こうしたものは並外れた好奇心をどんどん発揮して来ちゃう奴がいないと面白くならない。あ、もっともこれはtrue storyだけれど。

 かなりのはじめの部分で、San Francisco Chronicleの敏腕記者がタイプを叩く。このタイプライターがアップされたら、なんとこれがIBMのボール型活字がカシャカシャ動く「IBM Selectric」だった。しかし、この事件が起きたのは1966年のことだ。この時代に、あの先進的な、いってみれば革命的なタイプライターがもうすでにあったということなのか。時代考証を間違っているのではないのか、と思った。

 というのは、私がこのタイプライターを初めて目にしたのは多分1975年くらいのことだからだ。確かに地方の工場だったので、首都圏に比べれば情報は遅かったかも知れない。それまではレミントン、あるいはオリベッティを使っていたと思う。IBMを扱っている代理店がやってきて、ただでおいていくから使ってみてくれといってきた。あの当時、あのタイプライターがいったいいくらしたのか、全く記憶がないのだけれど、数十万円はくだらないはずだ。フォントの違うボール活字をひとつ置いていった。パチンとこのボールを入れ替えれば字体が変わるという事実に驚愕したものだ。しかも、どんなに速く打っても活字のアームとアームが重なってしまうということがないのだから、快適そのものだ。私が働いていた部署は室長を入れて、11人いたが、その中でタイプを打たないのは室長と国内業務専任者の二人だけだった。海外の顧客とのあいだのやりとりは全て英語だったから(当然か)、手紙を書くにしろ、契約関連文書を作るにしろ、テレックスでやりとりするにしろ、タイプが打てなくては仕事にならないのだと云われて、入社配属と同時にタイプの練習をさせられた。それが今になってとても役に立っていることはいうまでもない。

 歴史をひもといてみると(ネットで検索するとと云う意味)なんとIBMの「Selectric」が7年の時を経て開発商品化されたのは1961年だというのである。え〜〜っ!なるほどなぁ、International Business Machinesという社名は間違っちゃいない。
 映画を見終わったら既に、朝7時半になっていて、そこからまた寝てしまい、気がついたら正午を過ぎていた。