ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

再放送録画

 BS1スペシャル「隠された“戦争協力” 朝鮮戦争と日本人」の録画をしておいたものを見た。昨年8月の放送で前後編をこれも一挙に放送されている。番組の冒頭にテッサ・モーリス・スズキ先生が登場して驚いた。そういえば最近ほとんどお名前を見ていない。いまはAustralia National Universityの名誉教授。日系人ではないが、日本人と結婚したので、Suzukiとなっている。英国生まれで現在は豪州国籍。どこかの学会で一度だけお見かけしたことがある。番組中で彼女のことをナレーターが「テッサは」というのが気になってしょうがない。なぜ「モーリスは」とか「スズキは」とかいわないのか。気になってしょうがない。
 朝鮮戦争に、日本人が巻き込まれていなかったはずはないだろうとは思っていたけれど、とにかく占領期間のことでもあり、ほとんど良くわかっていなかっただろうことは容易に想像はつく。しかし、生き残っていた日本人に対して行った尋問調書が公開されていたことは驚くというよりも、良くもまぁここまで記録にしてきちんと残していることなんだと米国の公文書管理に舌を巻く。キャンプで働いていた日本人は、ドライバーやメンテナンス・ワーカー、あるいは厨房労働者だったのは予想できたけれど、通訳として朝鮮半島に連れて行かれた人のことは想像がつかなかった。思いが至らなかった。朝鮮戦争が始まった1950年6月といえば、朝鮮が日本の植民地から解放されてからまだ5年足らずだったわけで、多くの朝鮮半島居住者は日本の言語強制政策によって日本語がわかるわけで、彼等と米兵とのあいだの通訳は日本人でも務まるわけだった。
 そうした仕事をしていたのに、結局武器を取り、戦闘に加わる結果となり、戦闘の犠牲になるのは当然の帰結だった。それも認識証ひとつ与えられずにだ。戦後の混乱期に、キャンプの仕事を失えば生活の糧に困る。
 国は全く彼等の存在を認めなかった。それを認めたら、日本国憲法に違反していることを認めることになるし、国際的にも大きな問題となる。毛沢東スターリンも米国に迫ったことがあるという。
 彼等の補償は多分なにもされていない。