ほぼ足りてまだ欲 その先

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訃報

 珍しく私の携帯電話にショートメールが来た。なんだろうと思ったら、訃報だった。1970年代の終わりぐらいから20数年間にわたって通いに通い詰めた日比谷のバーでバーテンダーをやっていた人が亡くなったという。多分80歳近かったか、あるいは過ぎていたのではないだろうか。最後に会ったのは、多分松井久子監督の映画の上映会があると聞いて出かけた生涯学習センターのロビーだったのではないかと思うので、多分2015年の暮れだろう。そのころにはさすがに私もそこまで呑みに歩くこともなかったから、随分久しぶりだった。少しベンチに座って喋った記憶があるが、ちょっと喋り方が以前のような勢いを欠いていたのが気になった。ひょっとするとその頃にはもう既に認知症の症状が出ていたのではないかと。
 佐賀の故郷から東京に出てきて、銀座の当時名の知れた大きなクラブで黒服として働き出してから、その道一筋だったそうだ。そういう生き方ができるのが当時の銀座という街だったのだろう。小さいながら当時の若い人たちが始終出入りするような店だった。その常連の客たちも店の人間と一緒にどんどん歳をとるわけで、そりゃお客の足は遠のく。あの業界、この業界の当時脂ののりきった連中が出たり入ったりするわけだから、眺めているだけでも結構面白かった。
 大きく時代は舵を切っている。感謝を込めて心から哀悼の意を表します。