夏にNHKが放送した「ドキュメント72時間・歴代ベストテン」をまた放送していた。全部見ている根性はないから、適当に見ていた。第3位 「海が見える老人ホーム（2017年）」は気になったから、録画していたんだけれど、例によって真夜中にテレビを付けていたからそのまま見てしまった。始まってすぐに、あぁ、あそこのことか、それなら見たやと、思い出した。ところどころ覚えていなかった部分もあったけれど、ずっと自分に自信を持って行きてきたからずっと独身だったといっていたおばあさんのことははっきりと覚えていた。多分やり手だった女性で、大活躍したんだろう。若い時が一番楽しかったといっていた。それは本当だよね。若いときにしかできないことがたくさんあったんだよと思うもの。それなのに、やらなかったことがいくつか思い当たる。
姉妹で入居していたお姉さんが病棟にいて毎晩妹さんが話に行く。5年後に取材をすると、お姉さんは2年半前に他界していた。ドイツの製薬会社の日本支社長の秘書をやっていたんだと妹さんが話す。昔の会社には確かにしっかり者の秘書、という女性がいたもんだった。戦後の混乱をくぐり抜けてきたしっかり者の女性といってもいいかもしれない。ちょっとやそっとでは音を上げず、ひたすら頑張る女性ってたしかにいた。
あの有料老人ホームは聖隷福祉事業団が運営している「エデンの園」という一連の施設のひとつで、入居にあたって数千万円を必要とする高級老人マンションだ。いわば人生の勝ち組の人たちだということになるんだろう。多くの人たちはそんな施設で暮らす老後なんて持てない。
