ほぼ足りてまだ欲 その先

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有料老人ホーム

 2000年に「福祉構造改革」というものが大々的な厚生省の旗振りでできて、それが今日の様々な制度の礎になっているのだけれど、この頃から有料老人ホームの問題はなにも解決されていない。
 それは何かというと、民間企業の事業だという点につきる。いやいや、実はこの構造改革も時の流れに乗っているというべきだろうけれど、民間の活用という美味しい言葉にのらされて、公的機関が提供してきた社会サービスに民間の力、つまり資金、人的資材を投入して貰って活性化させようというものだった。
 当時から指摘してきたことだけれど、民間の力というのは、枠に縛られない非常にフレキシブルな力ということだということができる一方、損益に非常に厳しくやるしかないという制約がとても大きいということができるわけで、儲からなかったらすぐさま撤退することができるというか、せざるを得ない。
 それを継続性が求められる分野に無理矢理投入すれば、その破綻というものが起きた時に与える影響というのは計り知れないことになる。その時点ではもう誰も責任をとらない。
 今では高齢介護の分野では特別養護老人ホームよりも身近なところに設立されるチャンスの多い、比較的ハードルの低い有料老人ホームが増えている。一時金を返してくれなかったとか、毎月の費用の明細が明快でないとか、介護費用と一般経費がまぜこぜになっちゃうとか、経費の算定基準がやたら高いとかある上に、「破綻しちゃいました!」があとを絶たないという不安もある。しかも、これなんてどうしようもない。昔からなんの改善もなされていないことに驚く。
 朝日新聞によると、「帝国データバンクの調べでは、ホームなどを運営する老人福祉事業者の倒産は2013年に過去最高の46件あり、2014年も46件だった」そうだ。施設で働いていた職員もさることながら、利用者、入居者は泣くに泣けない。
 そんな状況が変わっていないというのに、安倍晋三自民公明連立政権厚労省が舵を急旋回して施設介護から在宅介護へなんて時代を逆行した政策を進めようとしている。一体誰がどうやって在宅で介護していくことができるというのか。今頃、何をいっているのか。その現実感のなさには開いた口がふさがらない。今独居老人の割合がどれほどなのか、いやいや、家族と一緒に暮らしていたとしても、老々所帯がどれほどなのか、一体考えたことがあるのだろうか。無策!