米国では、ホームレスの自立に向けた情報の拠点となる図書館が増えている。
先駆けの一つがサンフランシスコ市立図書館。2008年から精神保健専門のソーシャルワーカー、レア・エスゲラさんが元ホームレスの支援員3人と館内を回る。年約400人のホームレスに声をかけ、食事や睡眠がとれる場所の情報、自立支援の事業を紹介している。「本人の意思を尊重しながら、必要な情報に確実につなげる手伝いをしている。その意味では、図書館本来の仕事と変わりません」
在米ジャーナリストの菅谷明子さんによると、米国では求職や日常生活に必要なメールなどのアカウントをつくる講習会を図書館が開く。ホームレスの身なりや臭いに苦情も届く。それでも手をさしのべる図書館が広がるのは、「排除ではなく、自立を支援した方が社会全体の改善につながるという図書館の考えが地域に支持されているためだ」と菅谷さんは話す。(朝日新聞2015年2月16日05時00分)