ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

お節

 おせち料理って、昔はおふくろが三重の重箱に作って、それとお屠蘇の屠蘇器を床の間に飾って、松を生け、今から考えてみれば一体どこで手に入れたんだろうというような、日の出の軸を掛けていた。たぶんお宝探偵団に出したら3千円くらいの掛け軸じゃないのかな。で、子ども心に神妙にお酒(お屠蘇だけどね)をいただくってのが気に入っていた。うちの雑煮は(もう何回も書いたけれど)ぶりだった。その昔は両親の岡山から餅も送られてきたから丸餅だった。中にはよもぎを一緒についたあんこの入ったよもぎ餅も入っていたし、豆の入った豆餅は薄切りにして火鉢で焼いた。
 子供の頃はごまめや昆布巻き、数の子は嫌だったけれど、キントンや黒豆は甘かったから好きだった。それはどこの子どもも一緒だよね。
 今や数の子も欲しくない。美味しいとも思えないし。それに酒も呑まないし。冷蔵庫があるから重箱も作らないし。もう随分変わったもんだ。ひょっとするともう何十年かすると、逆に、かんたんに重箱が再現できて保存ができるような技術が復活して、全部半世紀前のようなおせち料理ができているかもしれない。
 それでも今のようにセットで買える時代になると、自宅で作るなんてことはもう考えられないかもしれない。だんだん暮らす単位が小さくなってきているわけで、一人用、二人用のおせち料理ってことになるんだから、今頃のスーパーに行くとそうなっているように、セット売りが主力になるよね。

 「ひとりで過ごす 正月の うたた寝から覚めて テレビ見る」 そんな日がすぐそこに