ほぼ足りてまだ欲 その先

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何のための施設

茨城県つくば市の有料老人ホーム「サンシャイン・ヴィラつくば倶楽夢くらぶ」で、入居者の女性(87)が、死後約1週間たってから発見されたことがわかった。
 女性は要介護者ではなく、専用居室で一人暮らしをしており、職員らも気付かなかった。
 運営する医療法人社団「みなみつくば会」(今川民子理事長)によると、24日午後7時頃、女性の親類から「電話に出ない」と連絡があり、職員が合鍵で入室、浴室に裸で倒れている女性を見つけた。つくば中央署は、急性心不全による病死とみている。(2012年3月31日06時29分 読売新聞)

 多分高齢者住宅扱いになっているのではないだろうか。だから施設側としては踏み込まないということだろうけれど、それだったらそこに設置する意味とは何だということになる。これでは普通の賃貸住宅に暮らしていることと全く代わりがない。入居者とその関係者は多分に有料老人ホームに併設という意味を考慮しただろう。
 こういうはっきりしないスタンスで、それとなく匂わすというやり方が「有料老人ホーム」全体への不信感を醸し出してしまう結果となるのだ。かつて、大きな有料老人ホームが破綻して入居者が路頭に迷う結果となり、保証金等まで踏み倒したことがあって、あれから私はどうしても安心ができないでいる。果たして業界はその不信感を取り除くことができるような法体系の整備や業界モラルの向上に大きな変化をもたらすことができたのだろうか。

追記

 ホームを運営する医療法人「みなみつくば会」(今川民子理事長)によると、亡くなった女性は県内出身で、ホームの建設計画時に「自分の部屋を作ってほしい」と同会に依頼。一度は断ったが、設計図を持参するなど熱心さに負け、“特例”でホームに併設し、専用の玄関がある平屋の居室(2LDK)を作った。
 現在ホームには他に65人が入居。うち49人が要介護者だが、女性は健康で日常生活に不自由はなく、「介護が必要になるまではできるだけ自由に過ごしたい」と職員側からの接触を断っていたという。入居者は原則として、食堂で食事を取り、血圧測定などを毎日行うが、女性は自室で自炊し、主治医がいることを理由にホームによる健康管理を受けていなかった。(msn産経ニュース2012.4.1 02:04)

 このホームの説明が事実だとしたら、驚くべき実情で、相当な個人的関係があるのではないだろうかと想像させる。いくら熱心でもこれでは施設として責任を持つことができないだろう。
 介護が必要になったら入るというのでは一人では決められないからとまだ元気なうちに選択をしたということなのだろうか。相当に用意周到な方で、しかもそれだけの資産を持っておられる方なのだろうと思わせる。縁を放棄しながら、心のどこかでつながっていたかったということか。それにしてもこれでは「孤独死」という言葉の持つ定義をかなり議論する必要があるかもしれない。