ほぼ足りてまだ欲 その先

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ひあはひ

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 図書館から柳田国男の「明治大正史世相篇」(東洋文庫)を借り出してきて、パラパラめくっている。
1967年の初版本であるけれど、わが区立図書館の蔵書には1983年に書棚に加えたと判子が押してある。
だからなんたって活字が小さい。
全集なんかになるとそうでもないのかもしれないが、なにしろ東洋文庫である。コンパクトにできている。
これあたりをスキャンするのはなかなか大変だろうなぁ。

ところで「家と住心地」を読んでいると「ひあはひ」とかいてあって傍点が振ってある。こりゃなんだろうと。
「〜大抵の表店はひあはひに細い路地があって〜」とある。
なにしろ漢字じゃないのだ。なんだろう。
しかし、わたしたちは大変に便利な世の中に生きておって、こんなものはググれば、チョチョイである。
「廂間」とか「日間」と書いて「ひあわい」と読むわけで、「廂(ひさし)が両方から突き出ているところ。家と家との間の小路。日のあたらないところ。」だと精選版 日本国語大辞典から引用して教えてくれる。そういえば、うちに国語辞典ってあったっけ?
で、そういうところにごみごみした路地になっていて、「雑然たる木小屋の集合たる」長屋があって、みんなそんなところから身を起こしたんだとある。だからたぶんそんな表の大店が持ち主で、そこへ管理人の大家がいて、店賃をとっていたわけだろう。だから、落語の「寝床」の大旦那が浄瑠璃を語る聴衆に長屋の住民を集めるってことになる。来ないんだったら長屋から出ていっておもらい!と癇癪をおこす。
 日本の住居はもう本当に長いこと、仮屋みたいな小屋の発展形に暮らしてきた。小屋掛けの発想だ。芝居小屋だって、相撲興行だって、みんな今でいえば露天のテントのようなそんな小屋掛けだ。それが決定的に変化したのは関東大震災がきっかけだというみたいだねぇ。
 柳田国男はパラパラとするだけでも面白い。

 話は飛びますが、「寝床」はやっぱり先代の文楽黒門町にとどめを刺しますな。他の誰でも良かぁない。

NHK落語名人選 八代目 桂文楽 寝床・素人鰻

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