戦陣訓の中で最も知られているのは「第八 名を惜しむ:恥を知る者は強し。常に郷党家門の面目を思ひ、愈々奮励して其の期待に答ふべし。生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ。」つうここの部分でございますなぁ。
だものであるからにして、大日本帝国陸海軍にあっては、いざ、捕虜になっちゃった時にどうするか、なんちゅう事はこれっぱかりも教えたりはしなかったわけです。もう論外だったわけですね。
そこんところは原発の事故発生時に、いかなる対応を誰がとり、その際に周辺に対してどのような情報を発信して、避難態勢をとるのかについて、全くおざなりにしていたのと全く同じであります。なんせ、原発は「絶対に!」安全だったんですからね。そんなことは「絶対に!」あり得ないにもかかわらず、でございますよ。
全く瓜二つでございますな。ですから、捕虜になってしまった皇軍の将兵はどうして良いのかわからないのです。
- 作者: 中田整一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/07/13
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こんな戦陣訓を残した東條英機君は戦後駐留軍が身柄を確保に来た時に拳銃で自らを撃とうとしますが、ものの見事にこれを外します。いやぁ、みっともないっちゃありゃしないってわけです。一体どうやったら自分で自分の胸を撃ち損じるのでございましょう。普通映画で見ますと、自害する時にはこめかみを撃ちますな。なんで胸だったんでございましょうねぇ。
それから駐留軍は東條君に米軍兵士の血を輸血し、徹底して治療をします。死なせちゃならんわけです。独房で夜寝る時も明かりがついたまま、毛布を被ると、見張りの若造兵が入ってきて足で毛布を剥がしたと漏れ伝わっております。彼は今や軍神の一人でございます。
さて、その戦陣訓ですが、こういう類いを戦争ごっこがお好きな方々は大好きでございます。こういうのが人気があります。
しかし、下の様な項目をみますと、落語の柳田格之進やら千代田卜斎の如き清廉潔白な人はそうはおりませぬなぁ。いや、おらないから書いてあるって事でございますか?
第十 清廉潔白 清廉潔白は、武人気質の由つて立つ所なり。己に克つこと能はずして物慾に捉はるる者、争でか皇国に身命を捧ぐるを得ん。 身を持するに冷厳なれ。事に処するに公正なれ。行ひて俯仰天地に愧ぢざるべし。
若い人たちを戦場に行かせることにはことのほか熱心なわが最高権力者ですが、自分や自分の家族は決していきゃせんのです。ずっこいのです。「戦争をできる様にしよう」と熱心な安倍晋三一派が自分の家族を派兵するわきゃないのです。あ、「武人」じゃないから良いのか!?