ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

山本太郎

 れいわ新選組山本太郎代表が能登半島に駆けつけて現地から報告と提案をFacebookにあげている。長いけれど引用しておく。


総理、県知事に提案する。
特に県知事には政府に強く要求いただきたい。
今回、私が事前に、そして現地でやり取りをしたNPO団体は10近い。
彼らはこれまで様々な災害現場で活動をしてきている。
能登に入る直前まで福岡、佐賀、千葉、茨城、福島、秋田など全国各地で起こった災害の発災から生活再建に至るまで、自分の生活を顧みず被災地を支え続ける人たちだ。

政府は、能登半島地震の被害をどれくらい深刻に受け止めているだろうか。
彼ら(現地で活動する方々)は今回、能登の災害を、「東日本大震災の次くらいのレベル」と受け止めている。
熊本地震も深刻な災害だったが、熊本は福岡、大分、宮崎、鹿児島に囲まれている。
何かあってもどこかのルートから確実な輸送が可能になる。

一方で、今回の舞台は半島。陸路での輸送ルートは限定的。すでに寸断されている道もある。
そして、
いつ起こるかわからない土砂崩れや雪による倒木などで新たに道路が寸断される恐れも大きい。
外的要因(外部からの流入)が様々な搬入のネックと考えるならば、一刻も早く入り口から制限する以外ない。


【提案◎ 半島の根っこ手前に関所(検問)を置き交通をコントロールせよ】
住民とその家族、特定の支援団体、行政・政府関係者、それらから業務委託を受けている業者、報道など復旧復興に関わる関係者以外は、一定期間、能登半島への出入りを制限する。

現在、国や行政で行われているのは、「来ないでください」とのお願いと与野党国会議員と総理大臣の現地視察を控える申し合わせ、というズレた対応のみ。
これでは本質的な問題は何も解決されない。

今の状況のままでは本来、ボランティア受け入れは長期間無理であり見通しは全く立たないはずだ。
ボランティア受け入れに関しては、半島の根っこの関所で交通をコントロールした上で、主要駅からシャトルバスを出し、ボランティアセンターとのピストン輸送を
基本とするべきである。


【提案◎ 大幅増員のプッシュ型支援を】
物資の滞りの原因の全てが、交通渋滞と説明されているが、それだけではない。
発災から6日が過ぎている。
すでに様々な集積所、大型避難所には物資が運び込まれ積み上がっている。
問題は集積された物資をそこからどう分配するかが、交通整理されていない。
これこそが最大の目詰まりの原因である。

必要なところに必要な物資や支援が届くためには、誰がどこにいて、何が必要か理解しなければならない。
小規模な避難所や自主避難所(公民館などで自主的に身を寄せ合う)への配分はすでに始まっているだろうが、これまでの災害でも課題となっていた更に見えない部分へのカバーを強化する時だ。

避難者としてカウントされる人々は避難所で避難されている被災者である。
その数に在宅避難、車中泊はカウントされない。
行政からのお知らせを、「HPでお知らせしています」、とよく説明されるが、電波やネット環境がない、もしくは不安定であれば、そもそもアクセスが難しい。
在宅避難、車中泊避難では、健康状態や食事についてのケアも孤立することになりかねない。

例えば、全国の保健師の方々を1人でも多く被災地に派遣し、在宅避難者や車中泊避難の方々の状態を把握することが何より優先させなければならない。
行政からの情報が手に入らない人々が大勢いる前提に立った運用を大幅な人員増強で行う必要がある。
車中泊ではエコノミー症候群など有名であるが、寝る際、燃料節約のためエンジンを切る者が多い。
底冷えする中で毛布もなく凍える被災者を想像して欲しい。
私が短い滞在時間で知っただけでも家族で二台の車に分かれて車中泊を続ける者。
ペットがいるために避難所を諦め車中泊する者。
幼子の夜泣きなどを考えると避難所を遠慮し車中泊する若い家族などがいた。

眠りは浅く、健康状態を保つことが厳しい上に、駐車場の空き状況によっては移動を余儀なくされ、どれくらいの車中泊避難が存在するかを把握することは難しい。
行政からのフォローを受けることも、行政からの情報発信をキャッチすることも難しくなる恐れがあり、必要な支援に繋がれる確率も大幅に下がってしまう。

一時的な車中泊避難のための敷地を用意し、仮説トイレや配食を確実に受け取れる場として、誰が車中泊避難を余儀なくされているかを行政が知る必要がある。
それと並行して、早急に車中泊避難を解消するための、みなし仮設への誘導、またはそれぞれの事情にマッチした新たな避難所の開設(福祉避難所、ペット同伴可など)を急ぐべきである。

ここ数年で何度か被災したという自治体であれば、経験が積み上がり有事の仕組みは何とか機能するかもしれない。
でもほとんどがそうではない。
初めての経験である。

被災自治体の職員も関係者も被災者のひとりである。被災者対応と被災者としての自分を両立させる苦しみを背負わせるな。
その皺寄せは、住民に、被災地の復興の遅れに跳ね返る。
今の時点で24時間寝ていない、他の職員で2日、3日徹夜状態の人もいるなど、何人にもの被災自治体職員から直接聞いた。

被災者丸投げに近い復旧復興はもうやめていただきたい。
プッシュ型というならモノだけでなく、ロジスティックのノウハウ、それを達成するための人的・経済的リソースを国が責任持って全面的に支援するべきである。

災害対応に関して、国や地方自治体などからのリエゾン(応援要員)をすでに送り込んでいると言われることもあるだろう。
これまでのように、災害対応一年生の職員を多く送り込まれても機能しない。

国の防災担当も2年〜3年で配置換えとなりこれまでの経験の蓄積ができていない原因となっていることを改める時期だ。
過去に被災経験、対応経験のある腕利きを国や各自治体から多く、出来る限り各被災町村に長期間派遣するべきである。(派遣元には人材穴埋めの財政措置が必要なことは言うまでもない)

物はあるのに物がない状態を作り出しているのは、政府の無責任であり、それこそが最大の目詰まりの原因である。
プッシュ型とは物資提供だけでないことを心得るべきである。


【提案◎ ニーズを聞きとるではなく、支援メニューを示せ】
「何をやって欲しいですか?」
パニック状態、
目の前のことで精一杯の状態の時にそう聞かれても、答えられないのが人間ではないだろうか。
それはいち市民でも首長でも同じである。
明日の家族の食事は?明日の住民への食事の提供は?
頭に浮かぶのは目の前のこととなる。

ニーズを聞き取って対応する、とは聞こえが良い。でも実は丸投げに近いことを意識していただきたい。
例えば、自衛隊は要望があれば炊き出しを行えます、お風呂を提供できます、過去には例外的にこのようなこともやりました、などなど支援メニューを細かく示しながら被災自治体をバックアップすることはあまり行われていない。

あくまで例として示したが、それ以外でも細かくメニューを示し、国の支援の具体を説明、伴走することを求める。
要望がないからやっていない、のではなく、何ができるか知らないから要望できない、と理解していただきたい。

被災自治体の首長も被災者の1人である。
長期的視点を持って被災住民のために職務を遂行していただけるよう意識して国がサポートするべきである。


【提案◎ いつまでに出来るかの見通しを示せ】
今回聞きとりを行った全ての被災者に、最後の質問として「政府が一つだけ何でもやってくれると言うなら何を望むか」と聞いた。
この災害で自宅全壊となった者でも国のお金で自宅を再建して欲しい、とは言わなかった。

出された要望は、
「水」「食事」「トイレ」「お風呂」「電波」が最も多かった。
控えめで自立心旺盛、我慢強い能登の人々が望んだことは目の前のこと。
加えて、欲しいものは「見通し」であった。

元旦からお風呂に入っていない被災者たち。いつお風呂に入れるか、見通しがわかれば待てる、という。
避難所で自前の灯油で暖をとる被災者。いつ灯油が届くかの見通しがあれば、節約しながら何とか凌ぐという。

でもそのようなインフォメーションはない。暗闇の中にいるようだと話されていた。
被災者は無理なお願いを政府にしているのだろうか?
見通しを示してほしい。現実的で最低限のお願いではないだろうか。


【提案◎ 現場を見ろ。安心させろ】
交通渋滞による物資の滞りを理由に総理が被災地入りを見合わせるとの報道があった。
国会議員の視察を含めて控えることを与野党でも合意されたと。
それについてどう思うかを被災者に聞いた。

「意味がわからないんですけど」
「どうしてですか?」
「ヘリで来れば良いじゃないですか」との意見が相次いだ。

総理や政治家が役人からの報告やテキストだけでわかった気になり被災地のことを決めていくことへの不安感ではないだろうか。
この極限状態を前に、現場を自分の眼で見ずに知らずに政治決定を行えるというなら、AIが代行すれば良いのではないか?
AIなら裏金問題や一部の者だけへの忖度も、権力維持のことしか考えない振る舞いもしないだろう。

一方で、目の前で困っているのは血の通った人間で、この国に生きる大切な宝だ。
総理の被災地訪問の見合わせに対して、現場を直接見て、被災者の声を聞いて、しっかり取り組むと約束をして欲しい、との声が多かった。
心配するな。国がちゃんとやる、と能登半島で約束をして、不安の中にいる能登の人々を安心させていただきたい。


【最悪の事態を想定しているか】
政府は、この災害が最悪の場合、何を生み出すことになるか想像できているだろうか。
先述のNPOの方々は、このままでは、
熊本地震以上の災害関連死を出す恐れがある」と懸念している。
その危機感が政府や永田町にあるだろうか。

発災時期を考えて貰いたい。
東北の大震災は3月。
熊本地震は4月。
春に向かって、もしくは春に起こった災害だ。
能登半島地震は元旦。
これから更に厳しい寒さへ向かう中で起きた災害だ。
能登半島を含む石川県全域が豪雪地帯である。
今日から雪は降り始め、明日には積雪予想20cmの市町村もある。
降雪、積雪の中、道路の修復や復旧作業は困難。
加えて、通常時、除雪作業は地元建設業者なども請け負うという。
除雪作業と復旧作業の両輪を廻せると考えるのは現実を見ているとは言えない。
(もちろん全国の建設業者を大々的に雇って行うならば可能だろう。
その場合、当然万博は中止、徹底した積極財政で被災地も支える覚悟が必要だ。)

道路だけの話ではない。
報道にあった首長の話で、市内の9割全壊・半壊、という状態から考えれば、この時期からの復旧・復興作業は困難と言える。
仮設住宅ができるのはいつになるだろう。
避難世帯分の仮説住宅、その土地を賄うならば、少なくとも更地にしたあとになるのではないか。
完成はGW?それよりも後だろうか。
その間も避難所での生活を続けるのは無理だ。
すでに衛生環境が良いとは言えず、ストレスを溜める方々も多く、避難所によってはインフルエンザが拡大していると聞いた。
トイレ後に手を洗うこともできない避難所が多くを占める。


【提案◎ 広域避難を求める】
地域ごとにコミュニティーを壊さない広域避難が必要ではないか。
仮設住宅が整備されるまでの間(春以降までか)、半島の外で安全で快適に過ごせる宿泊施設を利用した避難所のプランを早急に実行すべき。
2040年問題(少子高齢化による経済や社会維持が危機的状況に陥る)の最悪シナリオを現時点ですでに上回った状態にあるのが、現在の珠洲市であると現地の理学療法士から聞いた。

高齢者はもちろん、生活をともにする家族を含めて命と暮らしを守るために、避難所生活を無理に続けさせない大胆な策が今、求められる。


【提案◎ ノウハウある者の雇用・経済的支援を】
正月明けから本格スタートとなった災害対応の初動の遅れ、これまでの災害対応の蓄積を行なって来なかったことによる対応のマズさ、復旧・復興作業が滞る厳しい冬の本格化など、様々な影響により大幅な災害関連死の増に繋がることを現場で活動するエキスパートのNPOたちが懸念している。

災害省などを立ち上げ、このようなエキスパートを国が雇用、または活動への経済的支援を100%にするなどし、そのノウハウの蓄積を始めなければ、毎年増え続ける災害に、彼らが倒れてしまうのも時間の問題かも知れない。

今も被災地で身を粉にする人々の善意にいつまで甘えるつもりか。
使命感の搾取をいい加減止めなければならない。
何より言葉だけではない危機感と合わせて、能登半島の被災者や昨年の豪雨被害も含めた忘れられた被災者対応を行うと、今こそ政治が使命感を持つべき時である。


【最後に◎ いわゆる避難弱者への配慮】
女性や高齢者、障害者、病気がある人、薬が必要な人に対する緊急的な支援や配慮が必要であることは言うまでもないが、現場ではそこまでカバーできる状況でないことが気がかりである。
ここにおいてのサポート人員増も絶対的に必要であることは最後に書いておく。
以上、現地から荒削りの文だが、現時点で確認した上で政府に提案し、県知事にも政府に強く要求していただけるよう要望する。



多分、多頭の政党からは、「いうだけだったらなんとでもいえる」とか「勝手に制止を振り切って入り込んだやつがなにをいう」といった意味のない反応が出てくるだろう。やることをやらない政党なんていらないんだよ!といっておく。