ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

しとしとと


 しとしとと霧のような、雨が降っているのか、いないのかわからない一日だった。
降ってないよ、と思って傘をたたんで歩いていると、コートがじっとり湿ってきてしまう。
やや、これはいかにとまた傘を開く。
傘に雨が当たる音なんぞは全くしない。

 近辺を歩いていると、妙に「おにぎり屋」と称する店がポツポツと増えてきているような気がする。
ペットボトル入りのお茶も、まさかこんなに普及するとは思ってもいなかったけれど、おにぎり屋なんて商売がこんなことになるとは思ってもいなかった。そもそもコンビニエンスストアなるものの普及も想像外だったし、そこでおにぎりを買うのが当たり前になるとも思っちゃいなかった上に、それを店で客に出す専門店があちこちにできるだなんて、一体誰が想像しただろうか。しかし、天ぷら屋だって、鮨屋だって元はといったら露天の商いだったわけで、こんな高級な店と称するところで供するようになるとは、当時の人にとっちゃチャンチャラおかしいだろう。うちの近所に今では外国人が並ぶというおにぎり屋がある。以前はひっそりと、知る人は知るけれど、なんでそんなことを商売にしてんだろうねという扱いだった。それがある日、フランスのタイヤ会社のピルグマンなんたらってのに載ったってことになって、テレビは取材に来るし、雑誌でも取り上げられて列ができるようになった。「アツ、熱っ」といいながらおふくろが握ってくれるのがおにぎりだと思っていた。


 蔵前神社のミモザももはやおしまいで、そぼ降る霧雨の中、どっしりと重たくなった身を持ち崩していくようで、「ご同輩、いやいや長いこと経ちました。ご苦労さまでございます」と労ってあげたくなる。