ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

第325回 国立花形演芸会 6月28日

 仕事はさぼったのに、こちらの方はさぼらずに出かけた。私は日本テレビの長寿寄席番組「焦点」を見ない。だから、林家たい平について予備知識がまるでない。好楽の高座も聴いたことがない。だから、結構今日は楽しみだった。仲入りになって皆さんがトイレに立つと、女性用のトイレは超長蛇の列で今更ながら、かつてに比べると女性のお客さん、それも老若混ぜて、が増えているなぁと感じさせた。

前座 笑福亭和光(鶴光門下):今の若い人たちは「鶴光のきょうふのみそしる」シリーズを知っているのだろうか。
《落語》「祇園祭」三遊亭金兵衛(金馬一門):江戸っ子のべらんめいを上手に。
《落語》「七段目」三遊亭遊史郎(小遊三門下):次期「鹿芝居」の女形の座を狙っているんだろうか。芝居台詞の時は、セリフといい所作といい、なかなか良いんだけれども普通の口調になったときの語尾の流れがどうしても気になってしまう。芝居と関係のない噺をきちんと聞いてみたいものだ。
《曲芸》翁家和助:近頃の若手曲芸の皆さんの工夫と努力にはいつも感心させられる。彼の障害物競走なんて本当に腹を抱える。
《落語》―ゲスト―三遊亭好楽:この「ゲスト」ってのは何だろう?ギャラが出ていないのかな?彼は今年還暦と芸歴40周年で読売ホールで三日間興行を行うという話である。これからラジオを含めてどんどん露出をしないとね。
―仲入り―
《アンケートトークハローケイスケ爆笑オンエアバトルで知ったピン芸人だけれども、毎回新しいネタをどんどん考え続けていなくてはならないんだろうと心配してしまった。どうやらちゃぁんと客層にあわせて考えてきている様子もうかがえる。「それでは男性の方にお伺い致します。リーダーの素質はあるのだけれども、それを発揮するメンバーがいない!」には身につまされた。
《コント》テツandトモ:何度もセリフを忘れたりしちゃ、頑張っているとは思えないよなぁ。こっちがハラハラしちゃって、最後に「なんでだろう」になったときには客席から(これなら安心だ)的な拍手がでる。
《落語》「たがや」林家たい平:いやいや、三平門下が色濃くでた噺でなかなかなでき。噺がどんどん飛び、飛んでは帰って来、お客もそれに振り回されている自分に気がついて、また笑うという良い展開。最後のオチは旗本の首が飛ぶんじゃなくて、まわりにいた江戸っ子たちがたがやを担いでど〜んと放り投げ、みんなが「たぁがぁやぁ〜!」。それにしてもまくらのところでBSEを省みずアメリカから牛肉を平気で入れようとする公僕チーフをあっけらかんと大批判!オイオイ、ここ国立じゃん、なんて思ったけれど、良いねぇ噺家は、なんでも「洒落ですよ、洒落!」で終わりだ。

 私の隣には中年の女性がおひとりでお見えであった。私は自分のブログのためにメモをとるのだが、その女性もメモっておられたのでこりゃどんな方だろうと気になる。はねたところで思わずこの方に「(たがやの)オチが変わっていましたねぇ」とお話しすると「でも、首が飛ぶよりはよいかもね」と仰る。私も今のお客にはこっちの方がよいかもと思ったが、こうなると「首提灯」なんて気持ち悪いってことになりそう。
 一緒に行った友人が「いいねぇ、一人で寄席に来る女性なんて・・」って云う。確かに。