ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

参議院予算委員会

 池坊保子公明党 衆議院議員 文部科学副大臣の答弁というものを初めて拝見。私はいったいどこの何をテレビで見ているのか分からなくなりそう。用意された原稿をようやくお読みになられて具体的な案もなく、頑張ると云うことを同じ党内のお膳立て質疑と答弁で時間を費やす。

公明党 山本保:池坊副大臣に今の保育の問題と一緒に奨学金について聴きたい。以前文部省のかつての現役の方と話していて、これは冗談なんですが、アメリカでは保育所は高等学校にもたくさんあるんだよ、でも日本もし女子高校で子供が生まれたら退学だよと云われた。冗談でなく、まさに日本では高校はそういう状況にあります。私は高校以上の学校には保育所があるべきだと思います。授業料奨学金だけではなく、仕事がなかなかしにくいわけですから子育てをしている男性女性については子育て分の奨学金もあるべきだと思いますが大臣、いや副大臣、どうでしょうか。
池坊保子 文部科学副大臣:山本委員にはいつも子育て支援政策にお力添えを戴きありがとうございます。高校にまた通いたい、託児所があればと云う話が男性からそのようなお声が聞こえるのは力強い思いでございます。出産のために中断した、やはり託児所に頼るしかございません。大臣がきめ細やかに答弁されましたように通信教育では一時的に預かるだけですが、都立一橋高校、茨城県県立水戸南高校の二校だけです、大学は6ヶ所ありますが、それは職員のためのものです。もっと学生のために、私は認可外でも良いですから、あったら、あらねばならないと思いますから厚労省と手を取り合いながら勧めていきたいと思います。公明党の尽力によって有利子奨学金、3万8万・・・と奨学金も子どもの数によっては査定基準が弛められていますが、まだまだ足りません、私ども財務省のご理解を戴いて予算を取り、これからも勉強をして、頑張って参ります。

答弁の内容は国会のビデオライブラリーで見るとよく分かる。
自民党公明党の議員の漫然とした税の無駄遣いとしか思えない予算委員会の質問の後、共産党市田忠義が質問に立つ。

市田忠義 共産党:ワーキング・プアとはいったいどういう状態にいる人のことで、総理はどう認識、対応しようとしているのですか。
安倍総理NHKの番組で衝撃を与えた。一生懸命頑張って働いているけれども給料が低い水準にいる。近年こういう人々が増えているという指摘がある中で、給与所得300万円以下の人がH17年に1200万人と聞いている。非正規労働者が相当数含まれている。その要因は経済産業構造の変化、場合によっては価値観の変化にあるのではと考えている。
若者を中心に低所得の非正規雇用が増していることは将来の格差の拡大に繋がってくるだけでなく、十分に注意が必要だと思う。だから、ワーキング・プアといわれている若い人達が非正規雇用から正規雇用に移っていける環境を作らなくてはならないと思っている。具体的にはフリーター25万人常用雇用化プラン等により、生産業への転換の推進を重ねて、2010年までにピーク時のフリーターを8割までにしたい。また、ハローワークに於いて生産人としての就職の積極的な支援をしていきたい。また、正規、非正規の労働者の均衡待遇に向けて法的整備を含めて対処していきたい。
市田国税庁に聴きたい。年収300万円以下という極めて低い賃金の労働者がこの5年間でどれくらい増えているのか。
富田財務副大臣:実態調査では、年間通して勤務した人の中で低所得者は平成17年では1692万人で185万人増えている。
市田:この5年間で185万人増えている、全労働者の4割近くになった。なんでこうなっていると認識しているのか。
安倍:この5年以前からこの傾向はある。経済産業構造の変化、価値観も随分変わった。
市田:価値観の違いと、希望してワーキング・プアになりたい人がどこにいるというのか。暴論だろうと思う。不安定雇用の若者がどういう働き方を望んでいるのか、内閣府2006年度の労働白書でどう述べていますか。
内閣府国民生活局長:正社員の希望者、転職希望者が増加していると指摘している。 転職希望者は1987年からの15年間で102万人の増加。現職がパートアルバイトで転職希望者が92万人増により全てが説明できる。現在パート、アルバイトで正社員になりたい人多く、多様な働き方に関する意識調査では、現在パート、アルバイトとして働いている20代男性の85%が正規労働を希望しており、10年後にでも非正規を希望しているものはゼロである。
市田:数字が明確に表しているわけです。非正規労働者が今1600万人、そのうちの8割が年収150万円以下なんです。不安定な働き方をしている人のほとんどが正社員で働きたいという希望を持っている。それがなかなかかなえられない。その原因は雇う側にあります。安い給料で、必要な時だけ雇い昇格、昇級もない、いつでも切れる、こんなに便利な労働者はいない。自動車や電器の日本を代表する企業でも実際に工場で働いている人は正社員は少なくて、派遣だとか、請負だとかが入り乱れて働いております。総理は派遣、請負で、大企業に送り込まれている労働者はどんな生活をしているか、知っているか。
安倍:大企業の製造業の現場での話だと思います。もちろん企業の正規労働者も働いていると思います。同時に請負の方々がいわゆる協力会社的な立場で働いておられると思います。そんな中でいわゆる偽装請負の問題が摘発、指摘されたところであります。
市田:現実をもっと直視して欲しい。NHKの番組で何を感じたんですか。
例えば神奈川県内の自動車ラインで働いている人の話。(週刊金曜日から引用ではないか)。給与20万円、一見高いように見えるけれど、寮費5万、蒲団、テレビ、光熱費、所得税社会保険をひかれて手取り10万円。風邪を引いてもマスクしていけ、ついに倒れたらもう良いから出て行けといわれ、彼はホームレスになった。異常と思わないか。
安倍:基本的に、労働基準法に違反していることをしているのであれば法の執行しなくてはならないが、いわゆるワーキング・プアを前提にいわばコスト、あるいは生産の現状が確立されているのであればそれは大変に問題、だと思います。非正規の方々もですね、正規へのチャレンジが常にできるという状況を作ることで企業も積極的に向かい合うことによってむしろ中長期的には、企業の信頼感も高まり、基本的な活力も高まっていくのではないかと思います。
市田:異常と思わないかと聞いたのに、どう認識されたんですか、異常と思うんですか?
安倍:今仰った例が特定の企業で続発しているということであれば異常だと思います。
市田:私がいま紹介したのは極端な例ではないのですよ、氷山の一角なんですよ。だから社会問題化しているんですよ、そういう認識では改善できない。こういう働き方を可能にしているのは派遣や、請負、偽装請負ですよ。
今月3日大阪で偽装請負で処分したのは何が問題で誰を処分しましたか。
柳沢厚労大臣:労働者派遣法に違反した請負を継続していたこと、労働者派遣法第50条に基づく報告要求に対して、正しくない報告を寄せていたこと、既に業務改善命令が出されていたのに、遵法体制が充分確立されていなかったこと。それでこの企業の姫路事業所は一ヶ月間、その他の事業所については二週間の事業停止、これは新規の契約を排除すると云うことですが、是正、再発防止、遵法体制の整備を伴う改善命令をした。
市田:なんという会社ですか。
柳沢:株式会社コラボレートです。
市田:受け入れ先はどこですか
柳沢:この会社はひとつの企業グループのメンバでして、そのグループ会社の名称はクリスタルです。
市田:聴いていることがお判りになっていないんじゃないですか。労働者を派遣した会社ではなく、受け入れ先です。
高橋職業安定局長:本件に関して、受け入れ企業は個別企業にかかわる情報ですので、お答えを差し控え差して頂きます。
市田:そういう態度だから問題がなくならないんですよ。どうして公表できないのか、問題があったから調査に入ったんでしょう。
高橋:派遣事業におきましては許可になっているのは派遣元事業所であり、ここにかかわっての行政処分ですからご理解下さい。
市田:なんという情けない。この派遣企業は実際は労働者派遣であるのに、請負としていた。これは雇っていたメーカーにとってどう違うのか
柳沢:請負契約というのは仕事を完済することを請け負う。派遣は一人一人を派遣先に派遣すると云うことです。
市田:全く質問聴いていない。受け入れた企業にとってはどう違うのか。
柳沢:受け入れた企業にあってはあるひとつの仕事、例えばメーカーであったら梱包のような仕事を請負で下請けに出されることがあるわけですが、こういう場合は専門業者に請負に出す、そういったことはメリットがある。派遣の場合には通常特殊な知見を持っている労働者を必要な期間使うことができる、といったことが原則的に受け入れ機関にメリットがある。
市田:まだ、わかってない。派遣の時は労働安全衛生に関する使用者責任がメーカーには発生する。一年以上派遣が継続した労働者に対してはメーカー側は直接雇用しますという申し入れを労働者に大してしなくてはいけないが、請負にはその必要がない。どんな期間働かせようと関係ない。社会保険に入っているいないもあるけれど、一番今重要な点を全然答えていない。クリスタルは請負を装うことで受け入れ先の負担を軽くしてあげると云うやり方で業績を拡大してきたんです。グループのオーナーが系列に徹底する人生観と経営姿勢、読んで驚いた。「大競争に勝ち残り業界ナンバーワンになるためにはプロは規制緩和の違法行為は許される、境界線で勝負しろ、第三者に迷惑をかけない違法や嘘は許される」違法の勧めそのものであります。以前大門議員が質問していましたが、給与の前借りから返済利子を取ることまでやっている。当時厚労大臣は尾辻委員長だった。その時に労働法違反は許されない、しっかり調べるといった、調べましたか。
柳沢:私は真っ正面から受け止めているんですよ。どういうことがメリットかという質問に対して私が今答えていることが当然ですよ。調べたかと云うことですが調べて、先ほど触れたような業務改善命令をした、しかし、なおそれが充分強制されない、ということで今度の処分になったわけです。
市田:ということは金貸しまでやっていた。クリスタルグループは違法のデパート。そういっても良い名うての企業です。ですから今度の行政処分になったわけですが、一番の恩恵を受けていたのは誰かというと、労働者の供給を受けていたメーカーなんです。メーカーの側でもコラボレートからの労働者の受け入れが法律に違反する偽装請負だと充分に認識しているはずです。派遣会社も双方共に利益を上げる、法違反の人入れ家業そのものである。正社員を一人雇えば、年金や福利厚生費等を含むと時給で大体3500円かかる。請負にしてしまえば双方でカットして、労働者は結果として時給1000円になってしまう。派遣請負の仕組みでは自分の工場で働いている人間になんの責任も関心もユーザーは全く関心、責任を持たない、部品のように、もののように働く人を扱って恥じない、これはモラルハザード、ローハザードの極まりだ。そう思いませんか。
安倍:いろいろな例があるでしょうが、もし経営者が働いている人間をもののように考えているとすればそれは間違いです。
市田厚労省に聴きます。コラボレートから労働者供給を受けていた企業はどこか、どれくらい受けていたか。
柳沢:処分したのはコラボレートで、請負事業の現場がどの企業のところにあったかについては将来の行政の正しい運営を考える上から細目に渡ってご説明させて頂くのは差し控えたい。
市田:あまりにも無責任。私はクリスタルグループがいったいどれだけのメーカーに何人の労働者を派遣していたか調べました。全国で、1091の事業所4.3万人の労働者を派遣している。そこには当然他の人材派遣会社からも派遣されており、総数は102,732人になる。女工哀史を思い起こさせるような前近代的な劣悪な労働環境にいる。クリスタルグループから100人以上の派遣を受けている事業所は101事業所。大半が請負である。松下2701名、キャノン3033名、ソニー:1485名、東芝:855名。今の製造現場の実態からいってメーカー側の指揮監督なしで労働者を働かせることはできないわけですから、純粋な請負などは製造現場、ラインではない。ほとんどは偽装です。派遣事業者はもちろんその業者からも派遣や請負労働者を受けている製造業者も違法な働かせ方で不当な利益を得ているわけですから、受け入れている業者にも厳正な指導が必要だと思うがどうですか。
柳沢:法に基づいて行政を展開し、また必要に応じて司法的な手続きの発端を作っているわけですからそのように理解を戴きたい。
市田偽装請負と認定されたと云うことは実際は派遣だったと認定したということ。従って受け入れ企業に新しい責任が生じますね、どういう義務ですか。
高橋:一般論で答えます。派遣法違反が指摘されますと派遣業者のみならず派遣先にも指導をしております。それが対応されない時には勧告ができることになります。
市田:派遣業者が一年以上派遣した時にはメーカー側にはどの様な義務が生じますかと聞いています。
高橋:いわゆる派遣労働者の雇用の安定を図るという意味で一年以上派遣が行われる場合派遣先の直接雇用についての努力義務が発生してきます。また同時に一年以上というのは努力義務ですが、それぞれの業務について派遣期間が制限期間がある業務の場合、最高三年まで認められておりますが、三年を超えて派遣を受けたいという場合には同時に申し入れをしなくてはならない。
市田偽装請負だと云うことは本来的には派遣であったわけですからそういうことが分かったら、一年以上すぎたら正社員として働きますかと聞く必要があるわけです。総理は再チャレンジとたびたび云われます、働いている人にそういうハッパをかける前に、今ある法律を厳正に活用するだけで数万、数十万という単位でワーキングプアという立場に置かれている劣悪な環境に置かれている若者を安定した生活に戻すことができる。メーカーに対して直接雇用の採用を厳格にやるべきだと。本会議での私の質問に対して総理は厳格にやりますと答弁されていたわけですから、メーカーに対しても正規雇用の働きかけを厳格にやるべきではないか。
安倍:偽装請負については労働基準法に反するのであればそれは厳格にやっていくべきだと思います。
市田:厳正な指導をやるわけですね。こういう事態が拡がったのには政府の後押しがあった。特に2003年の労働者派遣法の改訂でそれまで禁じられていた製造業への労働者派遣が認められることになった。そのことが一気に製造現場での労働者派遣を加速させることになった。厚労省に聴く。製造業への労働者派遣業者の04年、05年、06年3月時点の数を述べよ。
高橋:製造業務に派遣する届け出をしている事業所は2004年613事業所、2005年 4337事業所、2006年8016事業所です。
市田:2003年に改悪があって2004年から施行。13倍になっている。これを改善しない限りいくら再チャレンジを叫んでも今の異常な事態は改善されない。元々1985年に労働者派遣法が作られた時でもその後の改正でも2003年まで製造業には派遣は認めていない。その理由、当時の安定局長の答弁
高橋:平成11年4月28日の衆議院労働委員会に於ける渡邉信職業安定局長答弁です。
「製造業におきます派遣の適用につきましては、特に製造業の現場にこれを適用することについて、強い懸念が表明されたところであります。したがいまして、改正法案におきましても、こういった意見に留意をいたしまして、製造業の現場業務につきましては、当分の間、労働省令においてこれを適用しないこととするというふうにしておるところであります。これは、特に製造業において、今委員御指摘ありましたように、いわゆる偽装請負というふうなものがまだ存在するのではないか、こういった懸念があるために、今回もこういった措置になったというふうに理解をしております。」
市田:政府自身が懸念していた通りの結果が出たと云うことです。製造業への解禁によって偽装請負が減るどころか一層蔓延したわけです。懸念していた通りに出たわけですから元に戻すべきではないですか。
安倍:いずれにしましても法令に反した行為が行われているのであれば、それは断じて許すわけにはいかないわけですから、政府としてしっかりと対応して参ります。
市田:製造業への派遣を認めてその結果どうなったか。去年東京労働局の調査で派遣会社の法令違反と業務請負会社の法令違反はどれほどありましたか。
高橋:2005年度に行いました指導監督状況、労働者派遣事業にかかわります875事業所のうち73.7%、業務請負にかかわります175事業所のうち84.6%あわせて75.5%の事業所で労働者派遣法等の違反が見られたことから是正指導を行いました。
市田:今の結果で分かるように法令違反が減るどころか、ほとんどの会社が法令違反だったということが今の答弁で認められたわけです。非人間的な働かせ方が横行しているのは自然現象ではない、その土台に労働法制の規制緩和があったということは事実が証明している。政府は全く政治の責任を感じていない。この問題は非正規の人だけの問題じゃない、家族も深刻です、正規労働者が恵まれているかというともっと下の人もいるんだから我慢しろと長時間労働、低賃金で、成果主義賃金を押しつけられている。しかも、社会保障を土台から壊す、技術も継承できない、物作りにも否定的な影響を与えるし、日本社会と経済の発展に関してもゆゆしき事態である。人間らしい働き方のルールをきちんと確立する、今あるルールをきちんと守らせる、これこそ政治の責任だと云うことを強く指摘しておきます。