ここの所に来て、各社一気に抱えていた派遣、請負といった非正規労働者を吐き出して来つつある。あちらでもこちらでも契約破棄が報じられている。
- 日産ディーゼル:1159人(10月1日現在)いる派遣労働者のうち今月末までに200人程度の削減を公表(毎日新聞 2008年12月9日 東京朝刊)
- いすゞ自動車:藤沢、栃木(栃木県大平町)の両工場で働く期間従業員らへの契約を今月26日に解除する方針を公表(産経ニュース2008.12.9 17:59)非正規労働者約千四百人(東京新聞2008年12月4日)
- マツダ本社工場:(府中町、南区)で5日、派遣社員約800人の多くが契約が切れた。発表からわずか約1カ月の契約終了。毎日新聞 2008年12月6日 地方版
- ホンダ埼玉製作所:期間従業員約270人は契約を更新しない。(時事通信2008/11/21-21:13)
この状態で2009年になだれ込んでいくわけだから、より一層これから路頭に迷う派遣契約、請負契約で非正規のまま働いてきた人たちが出てくるということになる。
当面の問題として政府与党は対処療法をどうするのか。
- 再就職支援では、職を失った非正規労働者らを対象に、自治体が一時的な雇用機会を創出する事業を導入。必要な財源1500億円は平成20年度第2次補正予算案に盛り込む方針。(産経ニュース2008.12.9 13:18)
- 政府は9日、国会内で「新たな雇用対策に関する関係閣僚会議」を開き、追加雇用対策を決定した。4000億円の雇用創出基金設立など今後3年間で2兆円規模の事業費を投入して140万人の雇用の下支えを目指す。雇用保険料の積立金と一般財源から各1兆円を拠出(2008年12月9日11時28分 読売新聞)
- 厚生労働省は9日にも全国の労働局に一斉通達を出し、大量の人員削減を予定する企業に対し、不適切な雇い止めや解雇をしないよう指導を始める。次の仕事が見つかるまでは寮にいられるように、企業へ要請もする方針(asahi.com 2008年12月9日3時2分)
各企業は経団連と自民党の連携が功を奏して実現した「労働者派遣法改正」のおかげでこの時期にバッファとなるべく起用してきた非正規社員をその機能そのものとして切ることになってきたわけだ。米国の生産企業がレイ・オフというシステムを持って不況になるとそっちで切って、忙しくなるとそれを雇い直して乗り切るという方式を抱えていたのを指をくわえてみていた。それを実現すべく自民党を脅かし、すかしてようやく労働者派遣法を改正(現状を見ればいかに改悪か、わかるわけだけれど)してきた。
ところがいざ実際にそんな状況に遭遇してみると周りから反響がどっと出て、悪者にされていく。しかし、現状を見ていると尻ぬぐいを政府がやるのは、そんな法改正をでれでれとやるからだと思うけれど、実際の話は結局美味しい部分をとっているのは企業であって、その尻ぬぐいを国民がしているということだ。
つまり米国のあの「ふざけちゃいけねぇよ」メジャー3の救済策とまさによい勝負。あっちのニュースを見ていると本当に「rescue plan」と書かれていて納得した。救い出してあげるんだねぇ。
対処療法はわかった。では、こうした状況を作り出して国民に尻ぬぐいをさせる原因となっているその「労働者派遣法」を元に戻すという根本的改正をどうするのか。なぜ今そこについて語られないのか。本来的には政治の役割には幅広いものがあって、だからこそ多くの特別待遇がそうした人々に供されているはず。
しかし、「(厚生労働省が)離職後も一定期間、寮などの入居を認めるよう、経済団体などに配慮を要請する。(時事通信 2008/12/09-22:05)」というのは何とも理屈に合わない話のような気がする。これはともかく「企業の情けにすがる」ということであって、はなはだすっきりしない。そもそもこうしたシステムを導入することにした厚生労働省は企業の「労働者ぶった切りによる企業延命方式」を認めてきたということなんだから、企業に対してそういうスタンスをとるんだったらその「労働者ぶった切りによる企業延命および儲け確保法」を直す方向をとるべき。そもそもこうなることがわかっていたんだから。
ところで日雇いだろうと期間工だろうと派遣労働者を使っている企業はそれってんで切り捨てればいいのかも知れないが、外国人の研修生・実習生を使っている企業はそうはいかない。いや、本当は「使っている」わけではない。研修・実習をさせてあげているわけだけれど、不景気になっちゃってやってもらう仕事がないから「研修・実習」を中止するということが出来ているのだろうか。研修・実習は日雇いでもないんだから、さぁ明日からもう帰ってくださいとはいかないだろう。一次産業、二次産業に従事している外国人・研修/実習生はどうなっているのだろう。そして日経外国人達の中には日本に永住するしかない、もう子どもの存在も含めた家族全体の選択肢として母国に帰るわけにはいかなくなっている人たちがたくさんいるはず。
彼らの状況はいったいどうなっているのだろうか。