ほぼ足りてまだ欲 その先

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三億円事件

 今年はあの「三億円事件」からちょうど40年になるんだそうで、今朝は各局であの事件について触れられている。そうか、もう40年にもなるのかとため息が出てしまう。本当にそうかどうか知らないが、あの頃の冬というのは印象に残る出来事が多かったような気がする。いや、私の記憶に残っている。三億円事件もそうだけれど、三島由紀夫にしても、安田講堂にしても、みんな冬だ。
 三億円事件が発生したとき、私は大学2年生で、この歳の年末、生まれて初めてスキーをした。12月24日から5泊6日で新潟の池の平スキー場に行っている。40年前でも雪の少ない年というのがあって、この年がそれだった。生まれて初めてのスキーが雪と泥がぐちゃぐちゃになったような斜面での、しかも当時のことだからギタギタの貸しスキーだったにもかかわらず、私はそれからスキーが好きになって毎年その時に参加したグループに加わってスキー場に行き、大学卒業時にはそのグループの会長まで務めていた。
 そのグループが所属していた親団体の事務所にもしょっちゅう顔を出していたけれど、その中に私の顔さえ見れば「おい!三億円!」と声を掛けてくれる人がいて、あれには本当に参った。彼が言うには白いヘルメットをかぶせたあのモンタージュ写真に私が似ているというのである。そう呼ばれた相手である私を初めて見る人は必ず「えつ!?」という顔をしたものである。
 それにしてもあの三億円はいったいどこに消えてしまったのだろうか。巧い具合に分散して薄めたのだろうか。それとも未だにどこかに寝ているのだろうか。40年経った今の時代でも三億円は相当に遣いでがあるくらいだから、あの時代ではとんでもない金額だったはずでちょっと遣えばすぐに目立ったはずなのに。
 フジテレビ「新証言! 三億円事件 40年目の謎を追え!」12月13日(土)21時から。