ほぼ足りてまだ欲 その先

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日雇い派遣の禁止を提示 本当に成立するかな・・・?

 厚労省は労働者派遣法の抜本的改正について次の臨時国会日雇い派遣の禁止を提示するらしい。「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」(座長・鎌田耕一東洋大教授)が報告書を公開したという。

日雇い派遣の禁止検討を 厚労省の研究会が報告書
 労働者派遣制度の在り方を議論する厚生労働省の研究会(座長・鎌田耕一東洋大教授)は28日、日雇い派遣の禁止を検討すべきだとした報告書をまとめ、公表した。意図的な偽装請負などがあった場合、派遣先企業が労働者に直接雇用を申し込む仕組みを導入するよう検討を要請。また企業が派遣会社をつくってグループ内だけに派遣する「グループ企業派遣」では、グループ内への派遣割合を8割以下とするなど規制が必要と指摘した。厚労省は30日に労働政策審議会の部会を開き、労働者派遣法改正について具体的な議論に着手。臨時国会への同法改正案提出を目指す。
(2008/07/28 18:53 【共同通信】)

 いろいろなことをいう人がいる。労働者派遣業界は今日のテレビに業界団体の人間が出てきて、「そういう働き方を選んでおられる方々もいらっしゃるわけで・・」なんてこれまでの通り一遍の対応を口にする。いつまでもそういっていれば世の中簡単にだまされると思っていることがもうすでに既にずれてしまっている。みんな知っているんだよ、そんなことですべてを語れないってことを。
 どこかの短大の准教授は「バーゲンセールや年末など多忙な時だけ人を増やすには、日雇い派遣が重宝していました。禁止されれば日雇い労働者を雇えないから、社員の労働がきつくなるだけ」だとか「中小企業の倒産が増えてワンコールワーカーの仕事がなくなり、飢え死にする人が増えたらもともこもありません」ときて、「人が足りない企業は取引先との裏取引もますます増える」といっていて、「見かけだけの日雇い派遣禁止提案より「1カ月以上の雇用を義務付ける」「全派遣会社に協会に加入させる」など、先にやるべきことはたくさんある」という。それでも返す刀で労働者自身に「労働局総合労働相談コーナーに相談すること」という(産経ニュース2008.7.28 07:51)。
 日本経済新聞(080727:10:23)が報じているが「(厚労省は)契約期間が1カ月以内の派遣を原則禁止する方針を固めた」という。仰るように短期間の日雇い派遣を禁止するということだ。
 いずれにしろ、根本的には労使双方にとって「同一労働同一賃金および社会保障」をシステムとして完成させなくてはならないと私は考えている。つまり、正規の労働者が働くのと同じ労働を提供する労働者に対しては全く同じ給与、社会保障を提供せよ、ということである。給与本体もともかく、社会保険すべても、もしあるのだとしたら福利厚生システムも同等に享受できるシステムにするべきだという、いわゆる本当の意味でのワーク・シェアを実現するべきだというものだ。週に40時間働く契約している人と比べて、同じ職種で週に29時間働く契約をしている人には給与も、社会保険も、雇用保険も半分払うというシステム。
こうすればもちろん労働者側にメリットはある。
 そして、使用者側にもメリットがある。それはこれまでのやらずぶったくりではなくて、景気の変動にあわして公明正大に、労働者の数を調整しても良いということになる。ましてや同じ仕事を6時間単位で交代して働いてもらうのだってOKだ。つまり、働いている人は全員正社員で当たり前だという、ごく当然のシステムだ。
 「そうやって暮らしたいといっている奴がいるんだから、そういう奴を雇って仕事を与えることのどこがいけないんだ」とうそぶいている業界スポークスマン氏にはどう答えるのか。考えてみよう。そうして姑息な手段を執らなくては成り立たない企業なんだとしたら、それはもう既に企業のシステムとして破綻しているということなんだけれどわかるかなぁ。なぜならそうした低賃金で、自立できないレベルに労働者を押さえつけた結果、将来彼らが国の支援に頼る確率はそうでない場合と比べたら高くなる可能性を占めているだろうということなんだ。
 そのシステムは一体どんな財源から支えているのかといえば一部は自身の保険料も入っているだろうけれど、多くの場合は国庫、あるいは自治体の財源から負担されることになる。
 つまり今現在、企業が企業の利益のために派遣労働者から搾取したものを、将来の国庫から補填することになるのだ。多分、それは可能性だけの問題でもあるし、そのまま直結するという言い方には無理があるという反論が出るだろう。けれど、これは事実だ。今の企業の「人件費削減」という“自助努力”は実は将来の市民が負担する、ということになるのだ。ま、結局は企業が国庫に手を突っ込んで金を引き出して、それを「経営」だといっていることになる。そんなの「経営」でもなんでもなくて、オレオレ詐欺と大差ない。
 じゃ、企業が日本ではいられなくなって外地に法人を移してしまい、それでなくても高い日本の法人税から逃れていってしまうと主張する人がいる。小泉と一緒になって「市場原理」を振り回して夜警国家の勧めを説いてきた某有名私立大学の竹中平蔵教授なんかもそういっていたような気がする。気がするだけなんだけれどね。公的資金を私物化しなくてはやっていけないような企業経営をしてきた人たちを平気で無罪にしてしまうような司法を抱えている国家だから、それはあるかもしれないけれど、そうした企業が外国に移っていけるものなら、そうしていってもらったら良いんじゃないだろうか。そうしたらどこかライバル企業が残るはずだ。
 そうそう、竹中先生たちが仰っていた「大企業の生産性が上がればそこからしずくのように下々にその成果が滴ってくるんだよ」理論というのはどこに行っちゃったんですかね?大企業がこうしてどんどん自身も、そしてあまたある出入りの中小企業にも「人件費削減」でもって搾取してきていたのに、下々にまわってきているように見えないのはなんでですかね?あ、なんだ、大企業にくっついているところじゃないとだめなんだね?なんだ、早くそういってほしかったなぁ。