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残留孤児訴訟

 東京地裁の判決は全面的に原告側敗訴。

中国残留孤児訴訟、国の違法行為認めず…東京地裁
 永住帰国した中国残留孤児が「戦後、中国に置き去りにされ、帰国後も苦しい生活を強いられた」として、国に1人当たり3300万円の損害賠償を求めた「中国残留孤児集団訴訟」のうち、関東地方に住む孤児40人(1人死亡)が起こした第1次東京訴訟の判決が30日、東京地裁であった。加藤謙一裁判長は「国が孤児の早期帰国を実現する義務を負うと認めることは出来ない」などと述べ、孤児側の請求を棄却する判決を言い渡した。残留孤児の約9割に当たる約2200人が全国で起こした集団訴訟での判決は今回で3件目。東京地裁の原告は1次〜5次提訴で計1092人に上るが、すべての訴訟を同じ裁判長が審理しており、孤児側敗訴とした判決は、今後の訴訟に大きな影響を与えそうだ。訴訟では、<1>国は孤児を早期に帰国させる義務を怠ったか<2>帰国後に国が施している自立支援策は十分だったか――が最大の争点になったが、判決は「原告らの損害は戦争から生じた損害とみるべきもので、帰国が遅れたことに国の違法行為があったとは認められず、法的な自立支援義務も負わない」と判断した。孤児側は、「国策で国民を満州(現中国東北部)に送り出した以上、国は早期に孤児らを帰国させる義務を負っていたのに、戦後一貫して義務を果たさなかった」などと主張。一方、国側は、「日中国交正常化以前は帰国を実現する方法はなく、正常化後も帰国を実現させるには時間がかかった。自立支援策も出来る限りのことをやって来た」などと反論していた。一連の集団訴訟で、2005年7月の大阪地裁判決は、孤児側の請求を棄却したが、昨年12月の神戸地裁判決は、原告65人のうち61人に計4億6860万円を支払うよう国に命じる判決を言い渡し、司法判断が分かれていた。(2007年1月30日14時2分 読売新聞)

 神戸の判決とは全く反対で大阪の判決に並ぶ。記事中にもある様に東京地裁は他の訴訟についても同じ加藤謙一裁判長が担当しているわけで同じ判決が出ることは目に見えている。こんなことを認めたら東京大空襲の被災者もそうした要求を出すかも知れないという恐れを感じるのだろうか。みんなが戦争で痛い目を見たんだからそうはいかないんだ、というのは説得力がない。この種の判断はマイノリティを押さえ込むやり方としては常套的であり、マジョリティからの分離を図るには非常に有効。
 一方、政府は前回の神戸の判決以来、ほのかに前向きな動きが見られていたのだけれども、その動きがこの東京地裁の判決によって何らかの影響が出るのだろうか。

中国残留孤児に新支援策、給付金など検討…首相方針
 安倍首相は29日、終戦前後の混乱で中国に置き去りにされ、その後、帰国した中国残留孤児に対する新たな支援策を導入する方針を固めた。孤児には生活に困窮している人が多く、平均年齢が65歳と高齢なため、これまでの自立支援策とは別に、給付金や一時金の交付など経済的な支援を検討する方向だ。孤児らが国の支援不足などを訴えた「中国残留孤児集団訴訟」の東京地裁判決が30日に言い渡されることから、首相は、判決内容を踏まえ厚生労働省に具体的な支援策の検討を指示することにしている。中国残留孤児は、2006年末までに約2500人が家族とともに永住帰国した。政府は、孤児が日本に定着する支援策として、日本語の指導や生活相談などを行ってきた。
 2007年度予算案にも「日本語教育や就労などを支援する自立指導員の派遣年限の撤廃」などの支援強化策を盛り込んだ。しかし、実際は、日本語の習得が進まないことなどから、孤児やその家族の就職が困難で、生活保護を受給している孤児が多い。孤児たちは2002年に永住帰国が遅れたことや支援不足に対する国の責任を問い、国家賠償を求めて東京地裁へ集団提訴し、以後、2006年末現在で高裁と地裁で裁判が続いている。このうち、2006年12月の神戸地裁判決は、国の責任を認め、総額4億6860万円を賠償するように命じた。
 国はこの判決を不服として大阪高裁に控訴したが、首相は、永住帰国した孤児の9割にあたる約2200人が集団訴訟に参加している事実を重く見て、新たな救済策が必要と判断した模様だ。救済の方法については、与党が「個人的理由で生活が困窮したわけではない孤児に対し、生活保護を適用するのは孤児の尊厳を傷つけている」(公明党)などとして、生活保護とは別の給付金制度の創設を政府に求めている。これに対して、厚生労働省は給付金制度には(1)シベリア抑留者や空襲被害者など、ほかの戦争被害者とのバランスがとれない(2)生活保護以外に給付金の制度を作れば、社会保障の体系が崩壊しかねない――などとして反対しており、調整は難航しそうだ。(2007年1月30日3時2分 読売新聞)

 急に強気のコメントが出てきたりするんだろうか。