ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

福祉ネットワーク

 23日(月)〜26日(木)の午後8時からのNHK教育テレビ福祉ネットワーク慶應義塾大学教授・金子勝の「緊急点検・日本のセーフティーネット」で、23日は「その1-高福祉のゆくえ」だった。NHKがあの田原総一郎すら手に負えない金子勝を起用してこの種の番組を作ることに、はっきりいって力強さを感じることを禁じ得ない。私は月曜日のこの番組、そして今朝のNHKスペシャルの再放送を見て、ますますNHKの視聴料は無駄ではなかったと感じている。
 「日本のセーフティーネットその1」では前町長が進めてきた秋田県鷹巣町の全国に名前の轟いていた24時間介護を目指すシステムが4年前に「福祉に費用をかけすぎる」と訴える対立候補が町長に当選し、町政が変わってしまった現実を見据えていく。
 誰もが生まれ落ちたときから加齢が進行し、誰もがどこかに何らかの障がいを負わないとは保証されない人生の中にあって、そうした人生を如何に豊かに支えるのかという点に焦点の置かれたシステムは、必ずや誰もが恩恵を受けるものであるはずにもかかわらず、利己的に立ち回る既得権者から如何にその利権を取り剥がし、再配分を適確に振り向けることができるのか、ここが本来的に「美しい」と言い表すことのできる社会システムだろう。なんら中身のない、ただ単なる字句だけの「美しい」を振り回して、既得権者の利権を守り通すための党略から私たちはこの国を取り返さなくてはならないのではないだろうか。
 25日(水)の午後8時からのNHK教育テレビ福祉ネットワークは「人員の確保の困難さ」をここでも考え、26日(木)は愛知県・高浜市のコミュニティづくりを取り上げるそうだ。

4月25日 その3

 今日の金子勝は「小規模多機能型居宅介護」として埼玉県のグループホームにまず行く。認知症の人たちのデイセンターであり、ショート・ステイの場であり、なおかつ訪問介護の拠点である。認知症の男性利用者が急に家に帰るという。職員がついていく。「じゃ、車で送りましょう」と車に誘導すると「いや、用事があるから」と歩く。後ろから交代した職員が行く。あれ?このついて歩いている人って、同期生の橋○ゼミの足○君じゃないか!彼はグループホームで働いているといっていたっけ、そういえば。
 代表者の方が「介護の仕事に従事する人たちの善意に甘えた制度になっている」と仰る。連れあいとともに大きく頷く。そう、そうなんだよね。多くのこの分野で働く人たちは本当に人がよい。素晴らしく人が良いのだ。こんな収入で良くやっていくよねぇ、君は。そうは云ってもこんなに援助を必要としている人たちがいるのに辞めて他へはいけませんよ。必ずそう答える。その足元を見ているんだよ、この制度は。一昨日の番組を見ても、今日のこの番組を見ても、どんなに介護保険制度を改正しても、やっぱりその働きに見合った収入が実現されないこの制度では早晩行き詰まるのは眼に見えている。そこを今改正しないでも乗り切れると、厚労省官僚がそう思っているのだとしたら、日本の官僚組織は機能を止めてしまったんだなと判断せざるを得ない。その原資は当然、法人税の適正化、そして所得税の累進化率の見直し以外に方法はない。
 企業におもねらず、真に市民、国民の足下に立脚した政治・制度の構築を図れば、それは自ずから安定した市場を築き、企業に適正な利潤をもたらすのだ。簡単にいってしまうと政府与党、つまり自民党公明党には高邁な思想がないということなのである。悔しかったら民主党の山之井の爪の垢でも煎じて飲んでみたらよい。ま、そこそこ河野太郎だけは許す。