ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

NHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」

 2007年3月11日に放送されたNHKスペシャルが午前0:10〜午前1:00の枠で再放送された。3月の放送に際してみることができなかったもの。たまたま午後10時前に眠り、喉が渇いてこの番組放映の直前に眼が覚め、水を飲みながら結局全部を見てしまった。介護職員の平均所得がなんとわずか305万円、4人に一人が介護現場から他の職種へと転職していくというのだ。この所得レベルでは結婚しても家庭を築く上で計画が立たない。3年前に福島で開かれた就職フェアでは3000人もの就職希望者が集まったというのに、今年は建ったの500名。
 では、と小泉がアロヨと結んだフィリッピンからの介護士の派遣も、日本の特養理事長が訊ねてわかったのは、多くの研修参加者の希望先は2年勤務すると永住権を取れるというカナダだ。
 比較して日本でのフィリッピン人介護者に課される条件は4年生大学卒で研修を受け、日本で介護労働に従事してから4年以内に日本の介護士資格を得ることができないと滞在資格がなくなるというもの。それでなくても外国人に対する差別意識の強い日本よりも多くの外国からの移民が混在して暮らすカナダの方が人気があって当たり前だ。アジア太平洋戦争以降、その戦争から何ものも学習することのなかった国とそうでない国との差はここまで来ると歴然とすると言っても良いのかもしれない。
 問題の解決点はどこにあるのかといったら、何よりも人間の生き・死にの問題に直結する業務に対する労働報酬をまず第一義に考える社会のシステム作りが急務だということではないか。その中には勿論医療・看護・介護の分野が含まれるわけで、この分野へのあらゆる優遇策を検討し、今時点で高報酬が見込めるその他の(はっきり云ってしまえばあってもなくても世の中は動いていく)業種との間にはっきりとした区別をつけなくてはならない。これを実現しないままでこの国の社会を現在の延長線上で捉え続ける体制に放置していくのであれば、将来的算段のつけることのできない、その程度の政治に国を託していることを認識して覚悟を固めるしかないだろう。