ここまで来れば万座温泉はすぐで、昨年は北軽井沢に住んでいる友人夫妻と万座温泉ホテルの幾つもある露天風呂を手拭い片手にぶらぶらと歩いた。今回はスキーも終わり、それにしてはまだ寒いこの時期にやってくる団体客を相手に営業している西武系の昔は高原ロッジといった万座高原ホテルに泊まった。ここには男湯と女湯だけではなくて、新しく作った石庭露天風呂が混浴で造られている。今時混浴なのかと困惑する。ところが一行の中に若年性の認知症ではないかというご夫婦がおられてこの方たちにはぴったりな風呂であることに気がつく。なるほど、支え合うご夫妻にとっては男湯と女湯に分かれている風呂ではどうしようもないのだけれども、ここだったらお風呂までご一緒に入ることが出来るというのは素晴らしい温泉なわけである。勇気のない私は夕食前にも、寝る前にも、翌朝起きてからも硫黄で濁った温泉にはいるときも男湯に入っていたのだけれど、出発の一時間弱前にチャンスを見つけて思い切ってその石庭露天風呂にいってみたら、さすがにそんな出かける間際に入る人はいなくて、幾つもある風呂を独り占めした。
