ほぼ足りてまだ欲 その先

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断崖絶壁

 その土地の組成に根本的な違いがあるのだろうけれど、私は地質学者じゃないし、地形学者でもないので全然分からないのだが、豪州の断崖絶壁というのは日本で見かける断崖絶壁とはそのスケールがむちゃくちゃ違っている。ヴィクトリア州だったら「グレート・ オーシャン・ロード」、サウス・オーストラリア州だったらカンガルー・アイランドのリマーカブル・ロックのあるあの断崖なんかは感動する。しかも豪州ではそうした断崖絶壁を簡単に見にいくことが出来る。シドニーに暮らしていた時にたまに友達が遊びに来ると観光ガイドブックに出てくるところに案内しても(自分は)つまらないから、滅多に見られないものを見せて上げると云って、North HeadやらSouth Head、時にはちょっと足を伸ばしてWest Headなぞという断崖絶壁にみんなを連れて行った。多分室戸岬にもうちょっと迫力を加えたと云って良いだろうか。太平洋の水平線が向こうに丸く見える絶壁の上から下を覗き込み、高所恐怖症にもかかわらず押し寄せる波がひとつひとつ砕ける様を見ながら「いやいや、この次の波はこんなもんじゃないだろう、きっと、ざっぱぁぁぁんに違いない」と想いながら見とれていた。
 考えてみたらそんなところに連れて行かれる奴はいい迷惑だったに違いない。いわゆる観光ガイドに出ているスポットを「見せて貰いたいっ!」というものだろう。タロンガ・ズーにもつれていってくれなきゃ、シドニー・タワーに登るわけでもなく、水族館にも行かないし、ウォーター・フロントでシーフードも食べないし。
 私の人生と同じなんだろうなぁ。自分が面白いから周りもみんなおもしろがっていると思っているんだけれど、周りはただ、振り回されているというだけなのだ。自分は呑みたくて、話したくて、寄席に行きたくたっても、周りはこんなのはどうもねぇと思っていても可哀想だから付き合ってくれているのかもしれない・・・ってことに気がつかない。
 どうも最近自分より若い人たちと付き合っている時に彼らはひょっとしたら無理矢理仲間に入れてくれているんじゃないかと思うことがある。そういう点では今の10代、20代なんかと比べて彼らはまだ儒教的だから一応立ててくれるという術を心得ているんだろうなぁ。あんまりしゃしゃり出ない方がねぇ・・・。