4月30日付のオーストラリアの新聞、The Daily Telegraphによると、北京オリンピック実行委員会はオリンピック村における各国の選手団が用いる食材は全て中国国内産でなくてはならないという主張をしているのだという。
オーストラリアには非常にユニークな食べ物が必須のものとなっていて、セリアル系のバーなどの他にビールの酵母からつくった「ヴェジマイト」といわれるスプレッドがあることは大変によく知られている。これはとても長い歴史を持っていて第一次世界大戦に派遣されたオーストラリア兵はこれを携行していたと云われている。見た目はすっかりチョコレートスプレッドにそっくりな色だけれども、しょっぱくて独特な香りを持つ。私はとても食べる気になれないが、日本人の中でもすっかりはまりこむ人がいるくらいで、オーストラリア人の家庭では朝は必ず食卓の上になくてはならないものである。よく「日本人における納豆の様な存在」といわれるけれど、むしろそれ以上に不可欠なものとなっている。多分日本人は3週間程度外国にいる間に納豆を食べなくたってどうにでもなるのではないだろうか。多少大袈裟かも知れないが、オーストラリア人の大多数はこれがなくては3週間を過ごすことができないのではないだろうか。
オーストラリア人とベジマイトの関係はそれほど重要だけれども、食材を外国から持ち込むな、全て中国国内で調達しなくてはならないとする北京オリンピック委員会の裁定は逆に各国のオリンピック委員会が如何に中国の食材に疑問を持っているかということの表れと云うこともできる。
