ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

食事手当って?

 「国民生活センターなど八つの独立行政法人が「食事手当」「食事補助」などの名称で職員に昼食代などを毎月支給、独法化された2003年10月から今年9月で計12億9754万円に上った」と会計検査院が発表した(毎日新聞 2008年12月18日 東京朝刊)。
 この記事を読んだ瞬間、私にはなんのことかさっぱりわからなかった。ひょっとすると公務員の世界では給与には生活費が含まれていないのだという解釈で、民間に比べたらとても低く抑えられているので、あまりにもそれは悲しいじゃないかと補填してやろうと民意が作り出したのだろうかと、昭和20-30年代の話をしているのかと思うくらいであった。それにしても会計検査院の指摘が「ほかの法人が支給していない以上、改善を図るべきだ」(Asahi.com 2008年12月17日21時6分)だというのははなはだ納得がいかない。
 そうじゃないだろう。給与たるものは通例食費も住居費も被服費も全て含むべきものではないか。
 かつて私が勤務していた企業に国税が監査にやってきた。当時、私はアフリカの砂漠の真ん中での建設工事のプロジェクト・チームに所属していて、現場から帰ってきたばかりだった。経理の人間から「国税が呼んでいるから説明に来てくれ」といわれた。やぁ〜な予感がする。大きな会議室の大きなテーブルの上から床からありとあらゆる場所にバインダー・ファイルが積み上がっている。
 話題になったのは私たちが現地で運営している食堂のことだった。なにしろ周囲360度が地平線で見渡せる砂漠のど真ん中に暮らしている。一番近いオアシスの街でも120km離れている。そこで生活しているのは日本人を含む西欧人が約100人。スリランカからやって来たその数倍の未熟練工だから全員に無料で三食を提供する。選択の余地はない、これしか食べるものはない。「あなたたちはそこで食事をしていたんですね」というのが質問だ。当然答えは「はい」だ。「ではその食費はあなたたちにとって加算報酬ということになりますね」というのだ。だから、プロジェクトチームにとってそうした食堂の運営費用は経費として認められないというのだ。二重払いに相当するというのだ。
 はぁ・・・。そうか。そういわれてみれば東京にいるとき、私は昼飯を自分の金で、つまり会社から払われた給与の中から払って食べている。なるほど、鋭い指摘じゃないか。
 「他の法人がやってないから」という理屈はおかしいと思う。それは二重支払いなんだよ、会計検査院のおじさん!