ほぼ足りてまだ欲 その先

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なんでもあり

 中川昭一はとうとうやめざるを得なかったわけだけれど、様々な反応が書かれている。
 面白いのは中川昭一擁護派が様々なことを考えようと、辻褄をつけようと努力していることかな。

  • 「ここまで騒ぎが大きくなったのは、背後にあるのは、おそらくは構造改革派の巻き返しでしょう。事実として残ったのは、本当に日本を憂う政治家が国の政策を左右する重要ポストから外れたことです。」
  • 「今般の出来事の本質は「人間狩り」であり、政治の名を借り、且つメディア報道を大々的に政治利用した暴力である。」
  • 「残念でならないのは、一人の外国勢力からの貴重な防波堤を失ったこと(城内みのる元衆議院議員) 」
  • 「あの会見が失態だったにせよ、中川大臣のこれまでの日本への貢献ぶりを考えればお釣りがくるくらいです。」


 こうして探していくと面白いくらい突っ込みどころ満載の中川昭一擁護論がネット上に氾濫している。それだけ安倍坊ちゃんと一緒で先兵として有効だと思われていたということだろう。
 しかし、どうせ、安倍坊ちゃんと一緒で「辞めた!、辞めた!」と云っても大臣の椅子は放り出したけれど、国会議員という立場には執着するわけで、要するに責任は取れないけれどステイタスは離さないというわけだ。それがおかしい。
 なぜ、これまでに日本の閣僚の何人もが様々なスキャンダルを抱えて辞任してもこの国の政治は大混乱を来さないのだろうか。世界第二位の経済大国(本当かどうか疑わしいけれど、永田町ではよく使われる)が時の財務・金融担当大臣がころっと替わっても動いていけるのも、中曽根坊ちゃんがヒラリー・クリントンがやって来たときの記者会見で下を見ながらまともなことをいえるのも、あれもこれもみんな霞ヶ関が周到に準備するからこそなんだろう。
 だからこそ、あんな記者会見が平気で実施されてしまうことにもなるのではないだろうか。ここからは全くの当て推量でなんの根拠もない。G7に出席するに際して、中川昭一がたった一人で東京から出かけるわけでもないだろう。当然の如く秘書がついてくる。そしてもちろん財務省からもついてくるだろう。大臣は何時替わるかもわからないけれど、日本という国の財務金融政策は連続していかなくてはならないもの。霞ヶ関に振り回されている、との指摘は的が外れているということだ。霞ヶ関なくしてはこの国の政治は進行しないようにできているんだし、それが当たり前だという政治運営機構でしかない。
 霞ヶ関としては既に決定済みの施策が実行されるべく手を打てばよいわけで、時の大臣たる政治家が会見を棒に振ろうが実際には関係がないのかも知れない。普通の職場であったらあの状況で会見に臨むと上司がいったらやめさせることになるだろう。急に体調に変化があったので、緊急に会見を中止するという方向をとるべきだ。
 しかし、それを強行したということは霞ヶ関にとってはどうでも良い、ということではなかったか。いくらいずれかの勢力によって薬を盛られたんだという説を振り回したところで、もしそれがあり得たとしても普通だったら周りは何らかの手を打とうとする。まったくそんなこともなくごく普通の雰囲気で会見が始まっていたのは、それまで周囲を遠ざけていたということになるのか。そうだとしたらそれはあのていたらくを叩いたマスコミの責任ではないし、中川は「恥知らず」の誹りを免れるためには事実をつまびらかにするしかない。それができないのであれば、それはこれまでの利権のしがらみだから諦めるしかない。
 政治家が舵を握っているのは裏の話ばかりでしかない。それはあの戦争が終わり、東京裁判が終わって、実際に問題にすべきでありながら国民が知らないうちに不問に付されてしまったいくつかの点と、何人かの人間を覆い隠したところに全ては根拠があるのだろうか。
 綿々と連続する作業の中で理屈ではない部分を政治が判断して、官僚がそれを糊塗してきたということだろう。
 今回中川昭一はローマでIMFに対する最大1000億ドルの「融資」に関する合意文書に調印した。

中川財務相は「IMF金融危機で重要な役割を果たすために有効活用してほしい」と要請。ストロスカーン専務理事は「過去に例のない最大の貢献」と感謝の意を表明(NIKKEI.NET 20090214 10:01)

 中川昭一擁護派はここまでIMFが感謝の意を表明した相手は誰あろう中川昭一だと書いているものすらいるが、これだって霞ヶ関が発案して「日本国」として実施しているわけで、中川昭一でなかったとしてもIMFの専務理事は表明する。ひょっとすると専務理事は今になって「お〜、面白い相手だったんだなぁ。もうちょっと絡んでおけば良かった」と思っているのかも知れない。
 そして彼ら政治家は、周知のように国会の委員会だろうと本会議であろうと出された質問に対しては基本的に各省庁に徹夜で回答書を作らせて読み上げるだけだ。だから読めもしない漢字を使う。自分で書いたものすら読めないなんて、小学生じゃないんだから(あれは自分で書いた字が汚くて判別がつかなかったのか・・)全くの話考えられないのはいうまでもない。
 そうでなくしては国会を運営することはできないというのは事実だろう。そうでなくてはあの低次元の利権屋でしかない輩が跋扈する政党政治にまで成り下がることはなかろう。そうでなくてしては一族でその利権を確保するべく二世、三世ばかりになるわけがない。「先生といわれるほどの悪でなし」と近頃はいわれることも少ないけれど、まさに今の国会の各委員会でヤジを飛ばしている議員を見ているとこのままだ。
 議員の歳費を思いっきり下げるという政策をとるとその利権がらみは減るだろうか。逆に金儲けに走って利権漁りになってしまうだろうか。それは有権者の意識がどこまで到達するか、ということに依るのだろう。
 「あんなに頑張った、国益を常に考えた人」だとして中川昭一を擁護するのは良いけれど、そうした方たちのおかげで彼はまだまだ国会議員を継続できるわけで、またほとぼりが冷めたら安倍坊ちゃんと一緒になってNHKを呼びつけるんだろうか。

 ところで肝心のG7での結論はどうなったんだろうか。アメリカがいっている今度の「バイ・アメリカン」はどう議論されたのだろうか。日本円の対米ドル為替は円安に振れていたけれどどうなるのだろうか。この時点で米国がより強い保護主義に走ることはなさそうとしても、もしそれが基調になりそうだと一旦情報が流れたらきっと日本の株価はどんどん下がり、それでなくても8千円を切った状態からより下がることになりかねない。
 とんでも記者会見のおかげで肝心な話が良くわからない。