ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

都留重人

 2月のあの寒い頃に駒込大観音光源寺境内で開かれた「羽鳥書店まつり」で私は「思想の科学」のバックナンバーを10冊ほど入手していた。買う時にキャッシャーの方が「思想の科学」を買う人がいると喜んでくれて嬉しかった。
 その中に1991年8月号No.143という薄っぺらい奴がある。わずかに112頁しきゃない。
 巻頭の記事は都留重人のインタビュー記事で「憲法の経済学的意味」というタイトルになっている。この中で都留がこんなことをいっている。

  • 「安保条約の下で日本にあるアメリカの軍事基地およびアメリカの軍備は、日本が全部サポートしてきた」(中略)「名目上、軍事費として払われなかっただけで、これは完全に最初から憲法9条違反だったと思います。」
  • 「戦後日本の憲法審議に、ある程度(米国が)積極的に参画していた段階では日本の自然資源-土地や地下資源を含めたいろいろな資源は国民全体のものだ。したがって、国民を代表する国家のものだ、という条項がありました。それを日本政府は、どうかお許し下さいといって断ったんですね。」
  • 「日本人も湾岸地域の歴史を勉強すべきだと。それにはまず、「中東」と呼ぶことをやめよ、といいたい。「西アジア」と呼ぶことがあの地域の歴史を理解するための第一歩。」

 もう20年以上昔の雑誌だ。この号ではその次の記事が元セゾングループ総帥だった堤清二への「近代国家概念の再検討へ」というインタビューになっている。これまた面白いのだけれど、北沢恒彦(1999年に64歳で死去。黒川創は息子。)が堤にインタビューしているところの写真が掲載されているんだけれど、これが実に素っ気のない写真で、どこか知らないけれど、レストランの様なテーブルに向かい合っていて、白いテーブルクロスの上には水くらいしかないという素っ気ない風景なのだ。もう少しなにかがあっても良いような気がする。

  • 「文明論の視点になりますと、余計に憲法9条改正には反対せざるをえないですね。ひとたび正規に軍隊が生まれたとなると、今度はどんどん自己増殖する。民主主義でそれがコントロールできるか、というとできない。軍隊が一種の官僚組織として自己増殖を始めて、それを誰もチェックできなかったから、第二次世界大戦の悲劇が起こったんじゃないか。」
  • 「チェックできなかったということに対して、徹底的な反省がまだなされていない。第二次大戦とは何だったのか、なぜ日本はそれを巻き起こす原動力の一つになってしまったのか、分析されていませんね。」

 ところでその堤清二は今年でもう既に83歳となるわけだけれどどうしているんだろう。