ほぼ足りてまだ欲 その先

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きっかけ

 菅・民主党内閣は今回の原発事故に関して、なぜ東京電力のいいたい放題をそのまま支持してここにまで至ってしまったのだろうか。
 確かに直嶋正行前経産大臣(元トヨタ労組)の頃から国内の原子力発電技術をどんなことをしてでも海外に輸出しようとやってきていたから、民主党という政権与党が原子力発電所について諸手を挙げて推進する姿勢にあるんだなと知って、自民党+公明党政権と何も変わらないし、その点では全く改革政権ではないのだということはわかった。
 私は有り体に白状するけれど、民主党が政権を奪ったらそれまでの因習、国民をないがしろにしてきた状況を一気呵成にひっくり返すものだと思っていた。だから、即座に八ッ場の停止を宣言した前原国交大臣に快哉を叫んだ。
 2009年の衆院選挙の時のマニフェストなんかにも原発がどうとかこうとかは書いていないみたいだから、それは私の勝手な思い込みだったのだろうけれど、民主党はエネルギー政策でも辻褄の合わない、地球環境を荒れ放題にしていくしか方法のない原子力発電には否定的なスタンスを取るのだろうと期待してしまっていた。
 ま、どうせ彼等はマニフェストなんてものはただそれだけのものだといわんばかりに、結局小泉純一郎と全く同じレベルのスタンスを取る輩だったわけで、程度問題としては大変な低レベルだったわけだ。
 それでも、今回の事故に関して、すべての現場の実態についての外部からの指摘を「全否定」して、隠しおおせると思ったのだろうか。どこまで本当か知らないが、菅直人は事故発生後に周囲に「臨界とは何か」と訊ねたという。別段内閣総理大臣は世の中のすべての専門を網羅していなくてはならないのだということはないはずで(そんなことをいったらその職務を全うできる奴なんてこの国にはただの一人もいないだろう)、いくらでも周囲のスタッフを使って叡智を集めればよい。
 しかし、明らかに今回の東京電力という寡占の民間企業が大火災の初動消火を誤ったわけで、その時点では菅・民主党内閣の責任が問われる立場ではなかっただろうという気がする。しかし、その後もそこで起こっている事象について全否定を続け、上杉隆いうところの「安全デマ」に終始したのは何故か。
 それだけこの施設の「事故」というものが一度起きたら取り返しのつかない性格を帯びている、ということだけはわかっていた、ということか。だったら、なぜそんなものを業界のお先棒を担いで、国民の税金を提供してまで他国に押しつけようと努力してきたのか、といわなくてはならない。それがベトナムだったら、よもや、どうせ枯れ葉剤で汚染されている国だから良いやと思っていたわけではあるまい。
 これから、福島第一原発は全地球の汚染源として放射能の拡散を続け、全世界から追求の誹りを受け続けるという宿命を日本国民に負わせたのである。それは誰が悪いのかといったら、もちろん「調査中」「データーがない」「確認中」を連発してその危険性を隠した東京電力が主犯人であり、原子力安全保安院が目くらましをして犯罪を幇助し、菅・民主党政権が彼等にシェルターを提供して犯人を隠匿してきたことに原因がある。
 しかし、これから全地球から指摘されるのは、彼等を含めた「日本人」そのものなのである。海外に生活している日本人や、日系人は今回の事故に何ら関係がないとはいっても、当然「日本人」とそのグループと見なされることになるのは眼に見えている。
 国を代表するということは、国をリードするということはそうしたすべてを包括した責任を負うということだ。今回の事故を見ていると、菅・民主党政権は全くその主導権を東京電力という一民間企業に取られ、その舵を離してしまった。しかし、それはこの国のエネルギー政策をここまでにしていた自民党+公明党にも大きな責任がある。彼等は大きな力を持って霞ヶ関がお先棒を担ぐ独占民間企業(群)に自由に活動する許可を与えてきた。上関原発反対闘争の現場を見よ。海上保安庁中国電力の工事強行を企業工事部隊の側から見守り、中国電力の職員が反対闘争をする地元民をビデオとカメラで撮影し続けている。先日の東京電力本社前デモでも、私服の身元のわからない多くの人間がカメラを手にデモ隊を撮影し続ける。
 そして、ぐるぐる回るようだけれど、そうした動きを甘んじて受け入れ、容認し、あまつさえ支持を続けてきた私達国民に根本的な責任がある。漁協は彼等に海を売り渡し、交付金で運営する地元自治体が容認し、そしてそうでもしなくては存在たり得なくなった地方を都会は見捨ててきた。
 これから私が取ることのできる立場は、この全く欠陥だらけの発電施設からこの国のエネルギー政策が脱却をして、結末をつけることのできるシステムを再構築する道を執るために声を挙げ続けるという今まで通りの方策しかない。