ほぼ足りてまだ欲 その先

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松本龍

 震災復興大臣になった松本龍が日曜日に東北に出掛け、岩手県知事、宮城県知事と会談。その様子がマスコミに取り上げられたものの、彼の発言に問題があったという流れで報じられ、私のtwitterのタイムライン上では大騒ぎになっていた。

 達増拓也岩手県知事に同相は、「(国は)知恵を出したところは助け、知恵を出さないところは助けない、そのくらいの気持ちを持って(ほしい)」と話し、復興に向け、被災地側が具体的な提案を行うよう注文した。
 このほか、「九州の人間だから東北の何市がどこの県か分からん」とも述べ、政府の事務方が「しょっちゅう(被災地に)入っているのに、何をおっしゃる」とフォローする場面も。
 その後の村井嘉浩宮城県知事との会談で同相は、宮城県が漁港の集約化を国に要望していることについて、「3分の1とか5分の1に集約すると言っているけど、県の中でコンセンサス得ろよ。そうしないとわれわれ何もしないぞ」と述べ、県内での合意形成を急ぐよう求めた。会談の場に知事が同相より遅れて入ったことについても、「お客さんが来る時は自分が入ってから呼べ」と話した。(時事ドットコム 2011/07/04-01:28)

 ネット上で騒ぎになったきっかけはこの後半の村井嘉浩宮城県知事が遅れて入ってきたことについて向かっ腹を立て、説教をし、挙げ句に「今の最後の部分はオフレコです。書いた社は終わりだからな。」といったことをTBC東北放送がニュースで流し、それをYouTubeに載っけた人がいたからなのだけれど、早速検索してみると、各紙がこんな具合に書いていたというわけだ。
 すぐに削除されるかも知れないけれど、「松本復興相、宮城県知事と会談」で検索すると見ることができる。松本龍は復興大臣に就任前から防災担当を兼務する環境大臣だった。その防災担当が東北の現地に入ったのが昨日が初めて、というのには驚いた。本気でやる気があるとは、思えない。「民主も自民も公明も嫌いだ」発言もさることながら、人間的な不遜さが滲み出るどころか丸出しなのが情けない。
 尤も村井嘉浩宮城県知事は復興計画に野村総研を全面的に受け入れていて、12名の復興会議メンバーの中に地元の人間が2名しか参画していないのは如何なものかと5月29日付けの記事ながら「しんぶん赤旗」に書かれている(こちら)。
 松本が村井に対してムッとした顔をしながら、まるで新入社員に対するように「今あとから自分が入ってきたけれど、お客さんが来る時は自分が入ってからお客さんを呼べ。良いか、長幼の序がわかっている自衛隊ならそんなことやるぞ。わかった?はい。しっかりやれよ。今の最後の言葉はオフレコです、良いですか、皆さん、良いですか、絶対書いたらその社は終わりだから」という。
 多分、大臣が来られるのにもかかわらず、村井嘉浩宮城県知事が迎えに出ていなかったのがいけないんだから、これくらいのことをいわれても当たり前だ、という論調がきっとどこかに書かれることだろう。そこだけを切り取るとそんな一面を語ることもできる。しかし、松本龍の語り口を聴いていると、それがすべてではないのが推察される。それ位動画は怖い。
 自衛隊が出てくるのは村井嘉浩が防衛大出身で自衛官だった過去を捉えていっているのだそうだ。松本龍はどうしても上下関係を意識しないではいられないという人間なんだろう。それによらないと自分のアイデンティティーを捉えられないのだろう。
 この時の松本龍の訳知り顔のいい方を聴いていて、この雰囲気はどこかでさんざん味わったなぁと思った。サラリーマン生活最後の上司がこれだった。自分は常に正当で、自分にヨイショしない奴は常に間違いだという男だった。会社の中にはこの種の男は結構いた。自分で自分をそう主張しないとみんながそう認めてくれないからだ。「部長に昇格したばかりの男の前を会釈をしながら通りすぎたら呼び止められた事件」というのがあった(タイトルが長い)。「お前、俺が部長になったのを知らないのか?お祝いの言葉のひとつ位いっていかないのか!」という。情けなくて涙が出そうだった。部長に昇格する奴なんてお前ひとりじゃねぇよと啖呵を切りたかったなぁ。
 二世議員というものはその出自がどんなことであっても所詮こんなものなのか。少なくとも河野太郎を見ているとそうでもなさそうなんだけれどなぁ。
 追記:どうやらこの松本龍発言に関する記事はウェブ検索上から排除されつつあるのかも。

 追追記:娘にこんな奴は会社にも結構いてなぁ、こんな奴だってあんな奴だっていたんだぞ、だけどそれに堪えないと金は稼げなかったんだと話すと、「そんな奴をそのままにしておく連中が悪いんだ」と逆にねじ込まれる。お前、本当に世の中知らねぇなぁ。甘やかして育てちゃったからなぁ。

 追追追記:一夜明けて松本龍は「結果として被災者のみなさんを傷つけたならおわび申し上げたい」と発言。被災者を傷つけたのかどうなのか自分では判断がついていないというわけなので、これはお詫びしたことにはならない。それに彼の一連の言動は、ただ単に被災者を傷つけるとかつけないとかの話ではない。パワー・ハラスメントを起こしたというわけであるし、マスコミと国民を愚弄するという行動であったことを彼が認識できないというのであれば、これはもう論外である。尤もマスコミの中にはこれで自分達が愚弄されているのかどうかわからない連中がいることが情けないが。