明治期の日本の煙草業界を二分するというと、村井吉兵衛が起こした京都の村井兄弟商会と岩谷松平の銀座・天狗煙草・岩谷商会でございますね。京都にはまだまだ村井吉兵衛の村井銀行の建物が残ってございます。もっとも素晴らしいのは円山公園に残っている長楽館の建物でございましょう。
東京にも村井ビルディングが日本橋の南詰めの東にございました。戦後解体されてしまって、日本橋御幸ビルとなりまして、実はこのビルの北東側の入り口はかつての村井ビルディングのファサードが埋め込まれておったのだそうでございます。何度か通ったのですが、全く気がつきませんでした。なんだ、そんなら今見に行けば良いじゃないか、という話に、普通だったらなるのでございますが、なんと西川ビルまで含めて大規模再開発(何度目なんだかわかりませんけれど)でとっくに解体されてしまいました。不動産開発というのは、日本の場合、すなわち歴史の破壊に他なりませんからね。はい、残念でした。
ヘンなことをウィッキペディアで知りました。岩谷松平は自分の屋敷の中に、20数人の愛人と共に暮らしていたというのでございますよ。子どもは全部で53人いたってぇんです。なんてぇ奴だい!