というわけで、シルバーパスで乗れる都営地下鉄で、日本橋に出でんと欲す。
いつも潜る階段に近い横断歩道に来ると、そのビル全体にカバーが掛かっていて、警備員が立っている。
なにやらんとみると、その階段前に立っていた都営地下鉄の看板にカバーが掛かっている。
つまり、階段があったビルが解体になっていて、階段の利用が不可となっている。
うわ、こりゃえらいことになっている。
ということは、もっと階段の数が多い入口を利用することになる。
「ご不便をおかけして申し訳ありません」というだけだ。
年寄りによってはこれでもう諦める人もいるだろうなぁ。
なにが「敬老の日」だ、と呟く。
この駅にもエレベーターは存在するのだけれど、陸上から降りるエレベーターは一番端っこにあって、改札階からホームへのエレベーターはない。繰り返すけれど「ない」のである。
駅の到着電車案内の表示が、形態は同じなのに、表示が異なっている。
よくよくみると、これまでのパタパタなんかじゃなくて、液晶表示なんかになっている!
すごいな!
金かかっただろうなぁ。
日本橋の本屋に入って、やおら携帯電話の密林頁を表示して、「ほしいものリスト」を表示させようとするけれど、上手い具合に出てこない。先はもっと簡単に出たはずなのに。ということは多分、アプリがヴァージョン・アップされたに相違ない。パソコン上の表示と、iOS上のアプリの表示が異なるのはなにもここだけの話じゃないけれど、なかなか対応する柔軟頭がない。
この類いの本は後年結構出てきているのだけれど、このタイトルにまず問題がある。「大東亜戦争」という表記である。原題は「No Cook's Tour - The True Story of a Japanese P.O.W. Derek Clarke」という。つまり「クック・ツアーではない 日本の戦争捕虜、デレク・クラークの真実の記録」とでもいうべきか。ここには第二次世界大戦とも、アジア太平洋戦争とも、大東亜戦争とも書いてない。ここに大東亜戦争と敢えてすることの意味を訳者が加えていることが感じられる。訳者が注意書きしているように、ここでいわれている「Cook」とはかつては世界のどこへいっても空港に必ずあったThomas Cook のことである。2019年に破産し、クラブ・メッドと同様中国資本がこの名前を買い取った。今や、中国資本の時代であることを知らされる。
著者のデレク・クラークという名前をどこかで聞いたような気がしてしょうがない。 岸政彦の出たばかりの本で、出版社の宣伝文句は「一般から公募した「聞き手」によって集められた「東京出身のひと」「東京在住のひと」「東京にやってきたひと」などの膨大な生活史を、ただ並べるだけの本です。解説も、説明もありません。ただそこには、人びとの人生の語りがあるだけの本になります。」というもの。生活史というけれど、たぶんそれは「史」という形態になっているのかはわからない。
しかし、この本はなんと、1,216頁もある。
こうなるともはや「鈍器」である。
一度はこの本を手に取ってみたんだけれど、これだけ重いと、これを抱えて歩くのは至難の業である。
歩くことが主目的の散歩というものがぶち壊しになってしまう。
こういう時のために、密林があるんじゃないか!というので即座に平積み台へ戻し、捕虜本だけ買った。この本でも2,000円もした。
そろそろ本を買うようなご身分ではなくなっていることを認識するべきだとつくづく思った。
しかるに、家に戻ってパソコンを開いて、この分厚い本を開けると、なんと既に「在庫払底」で次に入る予定は未定であると書かれている。こんな分厚くて高価な本があっという間に売れるというんだから、これでも出版不況なの?多分初版発行部数が少なかったものと見える。それは確かに近年の傾向だろう。
丸善から送ってもらうことにした。あぁ、また高い買い物をしてしまった。
日本橋近辺で何かを食べたら、また良い値段しそうだからと、我慢に我慢を重ね、近所のスーパーの398円弁当にする。
明日は家でスパゲッティを茹でよう。
それが一番安い。