ほぼ足りてまだ欲 その先

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一種の罠

 海外からの留学生を受け入れる教育産業というものは一種の輸出産業でもあり、ある種の外交交渉の基礎固めの要素だってある。多くのアジア、アフリカからの留学生は留学生活を通じてその国に対して親近感を得て行くであろうことは期待値として相応の役割を果たすだろう。しかしそれには留学生本人がそれ相応の体験と記憶を得ることがなければあり得そうもない。そこが果たして留学生に対して効果を果たすことが出来ているのかどうかは、なかなか評価しがたい。
 豪州で発行されている日本語新聞「日豪プレス」がその電子版で「Victria州にあるディーキン大学でビジネス法学部の学生100人のうち、30人の学生の宿題エッセーに疑惑がもたれていた。大学側はさらに調査を進めた結果、30人のさらに3分の1程度がカンニングの疑いが濃くなっており、そのうち一人を停学処分にした」と報じている。多分現地の報道の焼き直しだろうけれど、これは容易に想像がつく事態だろう。
 豪州は米国に比べて治安もそんなに悪くないし、行きやすいとしてアジア系留学生(特に中国、韓国)が多かった。しかし、どうやらその数にもかげりが出ているらしく、この記事の中にも、全豪海外留学生評議会のアレーム・ニザリ会長の言葉として「海外からの留学生は、留学コース案内から始まって様々な罠にかかって利用されているように感じている」という言葉が紹介されている。
 その傾向は実は昨日今日始まった話ではなくて、昔から留学生は美味しい客として認識されていた。それはどこのどんな業界でもあり得るパターンだけれど、不案内な街にいって不案内なシステムの中で何かを始めようとすると必ず遭遇するものだけれど、ことが「教育」という分野だけに「そんな罠」があるとは考えにくい、ということが根底にあるのかも知れない。
 尤も、日本にだって、大学や大学院に引けをとらないくらいに高額の授業料を徴収して満足な環境からはほど遠い状況で「楽しい青春」を標榜する専門学校だって、そして簡単に入ることの出来てしまう満足なカリキュラムも確立されていない大学だって平気で存在する。文科省は一体何をしているんだっていったって、設立、学科新設後の4年間はともかく、その後の状況を見ているとこれで良いわきゃないな、という学校はやっぱり存在する。
 それはある種の罠だと考えられないことはないといえるのではないだろうか。