古今亭圓菊が84歳で他界したと報じられている。丸谷才一も87歳で亡くなったそうで、ネット上では丸谷の方が大きく報じられている傾向にあるけれど、私にとっては圓菊の他界の方が意味が大きい。
圓菊の高座といったらそりゃあ所作がおかしくて、初めて見た時は一体この人は古典をやっているのか、新作をやっているのかわからないくらいだったのだけれど、菊春の高座にその芸はしっかり引き継がれていて、彼の落語も最初は一体この人はなんだよと思ったっもんだ。
志ん生が晩年もう動けなくなった時、志ん生を最後までおんぶしていたのは圓菊だったんだと聞いたことがある。本当かどうかは知らない。田原町から銀座線に乗って移動していくところを良くばったりと見たし、松屋デパート（あ、もうデパートじゃないや）に近い方の尾張屋に草履をスッタンスッタンさせながら入ってきて「やだよ、もう二階は終わっちゃったのぉ〜」と鼻に掛かった声でしゃべりながら入ってきたところに遭遇したこともある。人生はとにかく短いなぁ。
