愛知県豊川市の立てこもり事件の犯人は32歳。金を要求するでもなく、要求したのはただ「野田内閣は総辞職せよ」だけだった。
その前にパチンコ屋でごたごたを起こし、向かいの信金にはそのパチンコ屋から通報がいったので、職員が木刀を構えていたので、諦め、この信金に入ったらしい。だから、あらかじめ偵察をした上での押し込みではないのに、全く段取り良く立て籠もった。その場で思いついて入った訳じゃなくて、しっかり自分の中でシミュレーションしていた。男は一人だけ残し、しかも下着姿にさせたという。かなり神経が回るかしこよさで、例えば接客業の現場主任にはもってこいの神経の周り方ではないか。多分饒舌だろう。ひょっとしたらその種のテレビ番組や映画を見てヒントをえていたのかも知れない。
それで挙げ句の果てに捕まった時にこの台詞だ。
騒ぎになって自分が大きく取り上げられればそれで良いという捨て鉢さだ。これからこの種の騒ぎは頻発する可能性がある。
32歳といったら働き手の中でも脂がのってきたところだ。その若者たちが今の時代では全く先が見えない暗闇の中にいる人たちの割合が高いのではないか。時代が時代なら自信満々、嫌みなほどに自信に溢れていて良いはずだ。
この犯人が秋葉原事件のような方向に走らなくて、本当に良かった。人質になった人たちにはほとほとお気の毒ではあったけれど、身体的被害がなくて本当に良かった。
しかし、いたたまれないほどの焦燥感に蝕まれる人たちで溢れているのは間違いない。