ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

食事を告げる

 私が子どもの頃、わが家はおやじが働く会社の社宅だった。戦後に会社が建てた社宅で、全棟平屋。25軒ほどが2軒長屋から風呂付きの比較的大きな家まで何種類かに分かれていたものの、今から考えるとバラックに毛が生えたようなものだ。
 その真ん中にテニスコートが一面取れる以上の広場があって、子どもたちはここで夕焼けになるまで走り回っていた。で、夕飯時になるといく軒もの家から子どもを呼ぶ声がしたものだ。「ご飯だよぉ〜!」「お食事よぉ〜!」「めしだよぉ〜!」母親がそう呼べばその声だけで誰のお母さんが呼んでいるのか、誰にもわかる。
 なぜか自分の息子を「僕ちゃぁ〜ん」って呼ぶ母親がいた。なんでそんな風に呼んでいたんだろう。私たちは彼のことを「僕ちゃん」と呼んでいた。なんで彼だけ名前が二つあるのか、不思議に思ったものだ。