清水、静岡といったら、日本平に上がり、日本平ホテル〔かつては日本平観光ホテルといったと思う〕から、この景色を見なくちゃならんのだけれど、この景色にはもちろん霊峰富士の山がくっきり向こうに見えていなくちゃいかんのです。しかし、この季節にそれはなかなか難しい。もちろん必ずといって良いくらい見えているのは真冬の期間でございます。しかし、冬は西風が強く、三保の松林にいくと、「ヒューヒュー」と三保の子どもにはなじみの松の鳴き声が致します。かつて試運転で船を横浜へ持っていく帰りに伊豆の神子元島の灯台をなかなかかわすことができないというくらいでございました。毎朝会社へ向かうときにくっきりと見える富士をもう飽きたなという風情で見もしないという贅沢さでございました。年末に入院した病院の窓から見えた赤富士も忘れられません。
