銀座の立田野が店を閉めてから、もう何年ぐらいになるんだろうか。わたしがまだ小学生低学年の頃、何があったのか、よそ行きの格好（こんな言葉もなくなりました）で、革の短靴を履いて行ったことがある。多分家族全部で行ったのか、少なくともおふくろがいたような気がする。そうでなかったら、あんな洒落たものを食べたりはしなかっただろうと思う。それはまるごとオレンジの中に詰められたオレンジのシャーベットだったのだ。そんなものを食べたのはもちろん生まれて初めてだったわけだけれど、それ以来、私にとって「銀座・立田野」は憧れの的だった。多分次に入ったのは大人になってから、デイトだったと思うのだけれど（相手が誰だか思い出せない、つれあいだった可能性もなきにしもあらずだが）たしかクリームあんみつを食べたのだと思う。当時これがあんみつ系の最高峰だと思っていたから。
何かで読んだんだけれど、立田野という名前は、創業者の元相撲取りの四股名だったというんだけれど、思いもよらない名前の由来だった気がする。近頃だって、元横綱でスイーツ大好きってのがいるらしいから、不思議はない。
銀座若松はまだやっている。おっさん三人で真っ昼間からあそこであんみつを食べたのはいつだったかなぁ。もう10年ちかく前になるかなぁ。もうみんな70代に突入して数年だ。
京橋の、今は吉野屋になってしまっているところに「あづま」って名前の甘味処があった。吉野屋なんかになっちまって凄くがっかりした記憶がある。あそこが閉まったのはどうやら2009年の4月らしい。
あのあたりに近いところで甘味処といったら、有名なのは交通会館地下とイトシア一階に入っている「おかめ」だろう。不思議とあんなに近いところにあるのに、イトシアの店はいつもお客が待っていて、交通会館の方は比較的好いている。「おかめ」は麹町にも店があるんだけれど、どうやら本店はこっちなんだよと、つれあいから聞いた。なんで知ってんだと聞いたら、あそこの娘は学校で一緒だったという。だから、有り体にいえばもう「娘」じゃないね。
上野広小路に「みはし」という甘味処がある。こんな名前だから三橋という苗字かと思うと、実は「佐藤」という。
日本橋の三井タワーの一階に千疋屋総本店のフルーツショップがある。そこの果物はそれはそれは美しくて美味しそうなんだけれど値段に目が眩んでよく見えない。その奥に、セルフサービスのCaffe di FESTAというカフェがある。ここにロールケーキ二切れにコーヒーで500円というセットがあった。今でもあるのかどうか、最近おやつを食べないようにしているものだから良く知らない。これが旨い！
